MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

ビジュアルさんのひとこと

ボクはコンビニで長くバイトをしていた。
当時は今より不景気であったが社員になるとそれなりであった。
社員にはなれなかった。
なぜなら、バイトを掛け持ちしすぎていて高収入に目がくらんでいたからである。
昼:予備校チューター
夕方:塾講師
深夜~朝:コンビニ店員
コレに単発の、ガテンとかイベント手伝いを加えると、おそらく親より所得税を払っていた。
吉祥寺~新宿時代は、アレは社会勉強であり、カネの怖さを知るためには適当な出納であった。
 
下北沢とか渋谷、吉祥寺にはウロウロとしながら夢だけを掴もうという若者が多かった。
今も多いだろう。
着飾っていればモデルのスカウトが来るとか、
ハウスでチャルメラメロディーをバックに何か前衛な歌詞を歌っていればスカウトがくるとか、
ブラックの盆踊りみたいなダンスをしていれば取材にかかるとか、
つまり、甘ちゃんなアマちゃんの大集合であった。
 
どこぞの喫茶店でバイトしていたら、ビジュアルさん(まだ全盛ではなかった)がたむろしていた。
どうやらヴォーカルが頭を抱えて悩んでいるらしい。
他はアンプなしでギターをいじったり、何かクスリを飲んでいた。
ヴォーカルさんが言う。
 
『あんちゃん(ボクのことである)?オレの歌詞も歌も悪くないのにさ・・』
「はぁ・・」
 
みんな「本日のコーヒー」ブラックを注文した後に、やっぱり何かもめている。
「本日のコーヒー」を持っていったら、みんなミルクと砂糖を欲しがった。
甘いロッカーは甘党である。
 
みんなが、ダレだしたので水を注ぎに行く。
B5用紙のメモ、歌詞?が目に入る。
 
赤い十字架にしばられたキミを
白い翼で迎えに行くオレ
翼は千切れてもう飛べない
黒い海が深く待っている
オレは全ての血をナイフに預けて
・・・・
 
「ククク・・ブーッ」
 
ボクにはツボもツボ、大ツボであった。
 
キミとは、空に浮いているわけで死人か霊魂でありますか。
赤い十字架・・日本人にはもったいないぐらいの表現でありますことです。
アナタは白い翼ですか?天使でしたか?
でも海は黒いんですね、大変だぁ、公害だぁ、どっかの油田で大事故だぁ。
ナイフ持っているから、翼が千切れるんじゃないですかぁ?
 
「ククク・・ブーッ」
笑いが止まらない。
 
『何だぁ!クソガキやんのかぁ!!??』
 
大変だ。客を怒らせてしまった。
マスター(デブ・ハゲ・ホモ)のコーヒーはタダ、のはからいで、何とか収まる。
 
ヴォーカルさんが聞いてくる。
『お前なら好きな女にバラードを、どう書く?』
 
ラブソングだったんですか・・アレは。
 
君が生きるから ボクは生きていける
君が死んだら ありがとうって言おう
さようならって 言えるはずなんかない
死んだらおわる そんなもんじゃない
生きるなら どこまでも付いていこう
君の血も涙もゲロも
全て飲み干してやる
吐いたらまた飲み干してやる
 
 
『バカにしてんのかぁ!!??』
 
「バカはお前だぁ!!」
 
 
どっちもどっちということになって、多数決。
なぜかヴィジュアルさんのヴォーカルさんが負けた。
すっごい落ち込んでいた。
 
メタルやデビッドボウイ、日本ではバクチク以降暫く、ビジュアルさんとは縁がなかった。
マリスがメジャーに現れたときだけ、観に行った。
 
イメージ 1
 
 
本物の宝塚が見たかったからである。
 
一番の美人?で化粧上手のMANAさまはゴシックブランドを立ち上げて成功している。
モワティエはゴシックちゃん垂涎の高級ブランドである。
KAMIさまが亡くなったのが残念で仕方がない。
Gacktさまは脱退以降は、すっかり常人?になりお茶の間の顔である。
 
ゴシック、ゴシック、退廃、バロック、ネクロ、ロココ、耽美、フィリア、ゴシック、ゴシック、崇拝、ゴシック
黒と赤、赤と白、血と肉、骨と骸、蝋燭と逆さ十字、燭台と聖母、華麗と醜怪、夜と月、夢と幻、ふぅ・・
廃墟と退嬰、地球と天球、ツタとヒダ、豪奢と流麗、久遠と漸近、薔薇と貴婦人、謝肉祭と復活祭・・・むむ
 
常人なら息が詰まるかもしれない。
ガクトさまはきっと心から「普通」だと思っていると思う。
異世界で何か違う?と感じた時点で常人なのである。
無論、常人だからと言って「常識の範囲内」とは限らないのは云うまでもない。
「ビジュアルの異世界」で生きるには日本人であること自体無謀なのである。
 
日曜の朝ぁ♪駅の周りにぃ たっくさん、たっくさん、もんじゃ焼きぃ、
ナマ、生のぉ、生焼けぇ♪あぁあぁ日本人♪
 
ゴシックとは無縁である。