MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

キムタクとスノボ

ピョンチャンで冬季五輪が開幕し、日本選手が奮闘している。
ピョンチャンが韓国なのか北朝鮮にあるのか、未だによく知らずに観ている。
キム君の妹君が盛んにニュースに出るので、おそらく政治的な駆け引きも競技種目なんだろうと思う。
トランプのおばちゃんも、面と向かって「大嫌いだ」とは言えないので、自国の選手に託すんだろう。
『いっちょギャフンと言わせて来い!』と。
安倍君も同じ。
『あまり波風の立たないように、且つ、致命的なダメージを与えるようにして下さい』と。
日本のハードルは高い。

ボクは滅多にテレビを見ないが、冬季種目はとても好きである。
華がある。
何より、フィギュアの衣装が薄手できわどくて良い。
五輪は、下品に高揚しがちなのだろうが、冬季は寒いので適度に緊張感もある。
紳士淑女のスキーヤーと、スノーボーダーの兄ちゃん姉ちゃんが、同列で競っているのが面白い。
スケーターは公家である。
羽生選手を見れば、あぁ貴族なんだなと判る。
蹴鞠(ケマリ)とか、香道とか、その辺の佇まいだ。

ココは北海道なので、新聞テレビを筆頭に、鼻息が荒い。
北海道新聞、通称「道新」は、連日、道産子アスリートの戦果を書き立てている。
書き方はすごく偏っている。
全国ニュースより悪い。

・ 無念の○○
・ メダル逃す
・ 実力が発揮できず

お前はコーチか?
大会の強化責任者か?
開催費の何十パーセントも払ったのか?
親戚縁者でなくたって、もう少し救ってやるものだ。
北海道は、地方都市の例に漏れず、東京への嫉妬をネオンで固めたような処があるのでこうなる。
同じ舞台で勝負したいが、カネヒトモノの全てに及ばず、同じ土俵もあり得ない。
だから観光や地場産物を推すしかないのである。
冬季と言えばお家芸!いっちょギャフンと言わせてやれ!
言わせるのは選手なのだが、自分は選手には程遠い能力なので、勝手に自己投影するのである。
悪天候で深夜の中、なんとか滑り切っても、結果がなければ酷く書き立てる。
オラが北海道をおとしめた!非国民め!
もはや田舎地主のエゴであり、日本ですらない。
合掌。

さて、
ボクは北海道に来てボードを始めた。
スケボーの延長ぐらいに難しく思っていたが、意外にとっつき易かった。
そして、面白かった。
似ている点は、モテたい一心で上達すること。後ろめたいこと。
昔のスケボーと同じように感じた。
野球やサッカーは公園の中心の広場。
ローラースケート(ブレード)はその周辺。
スケボーは、建物の間の空き地や、公園の壊れた遊具の辺り。
街を抜けた山の入り口、海への出口。
シンナーやドラッグと溜まり場が重なり、人種もなぜだか似る。
使っているのは、色を塗った合板にとって付けた車輪。
どこか貧乏くさく、身体を使っている爽快感が乏しかった。
そこはサーファーも溜まり場は同じで、あの健康的な色合いを一皮むけば、ドロッとした色欲の世界である。
家にいても仕方ない。かといって金もない。
板に乗って、空気や波に揉まれていると・・・なんというか、頭がスッキリして気持ち良い。
不健康なドラッグより、少しまっとうな気がする・・・。
実に勝手な書き方だが、ボードの魅力は、その怪しさにある。
日常に居ながら、どこかにトリップできる。
だから、スポーツドリンクの似合うスキーとは違うのである。
序列を踏まえ、礼儀をわきまえ、長幼を重んじ、自己研鑽に努める。
スキーヤーのイメージそのもの。
ボーダーは、響きからして病んでいる。
病んでいるのに健康であるところが怪しく、まっとうな救いがない。
まだまだ歴史は浅いが、当初からスキーヤーの評判は悪い。
「マナーが悪い・・」
良い訳がない。良くなる理由がない。
光に憧れて憧れて、でも日影に馴染んでしまって、ポカリなんか不味くて飲めない。
アルコールとタバコとドラッグとネオン、路地裏の、LEDがひとつもないネオン。
ほんの少し汗のにおい。それもどこか愛液臭い。
そこにマナーがあったら文化として成立しない。

脱線。

若いボーダーには関係なかろうが、二枚板と一枚板には厳然とした差がある。
スケボーには両脚の自由があったが、スノボは放棄した。
紳士淑女と肩を並べるためのハンデ、いや枷か。
あんな板に乗って、表面を滑走し、スピードを出切って空中に舞う。
身体バランスが全てを支配し、転倒が命取りとなる。
そこが面白い。だと?
およそまっとうなスポーツではない。サーカスに近い。
真面目になればなるほど笑いを誘い、根から真面目な人間は閉口する。
観客は、死と背中合わせの大技に歓喜し、失敗に絶叫する。

ボーダーは入賞しようとしまいと、終始不機嫌である。
モテたいが、表彰は嫌いなのである。
なぜ表彰を狙うかというと、カネが入るしモテるからである。
スキーヤーが、後背を憂いたり、自身を三省したりするのは、紳士淑女だからで、
ボーダーには現在の快楽以外にはあまり心配はない。
表彰に浴しても、好きな人に告げたいとか、お世話になった数人に恩返しができた、とか思うくらいである。
ボクは思う。
それじゃダメか!?
ボーダーに限らず、自分を極限まで追い詰めたことでもう十分である。
結果は、競技だから仕方ないが、それをもって非難はできない。
『まじめにやったのか?』
『練習より悪い!』
お前はコーチか?
大会の強化責任者か?
開催費の何十パーセントも払ったのか?
親戚縁者でなくたって、もう少し救ってやるものだ。

ボーダー(冬も海も)はオシャレである。
発祥が貧乏だから、合わせ方に気を遣う。
鍛えているから、基本的に、タイトな服が似合わない。
ルーツは黒人が多いから、上下ともダボつく。
お下がりが多いからだ。
音楽やダンスと切っても切れない。
日本人がやっても似合わない。
キムタクの服装を真似てもモテないのと同じ。
キムタクはジャンルでありワールド。
キムタク着用を真似ることは、アレと同じだ。
ミッキーマウスの帽子をかぶるのと。