ウツ人が笑った日
休職して1~2年目は気が変だった。もう、死しかないと思っていた。
気休め、といえば「手でタバコを消すコト」だった。
熱くも痛くもない。毎日、1つ以上その跡は増えていった。
エアキャップ(プチプチ)だらけで、手はウロコのようになった。
言葉を覚え始めた娘が、ある日言った。
「ちち、手痛い?」
『痛くないよ』
娘は笑って言った。
「ちち、手痛い?」
『痛くないって』
娘は何度も何度も、とちりながら聞いた。
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
(うるせぇなぁ!)ボクは娘をはたこうとした。
娘は笑顔だった。
でも、お前、それ涙じゃ・・・
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い!」
娘の笑顔は崩れ、泣いた。大泣きになった。
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
『うん、痛いよ・・・ゴメンね。』
「ちち、笑った!」
ボクは笑った。
こんな小さい笑顔と泣き顔が、ボクをコチョコチョっとした。
その日はタバコをやめた。
気休め、といえば「手でタバコを消すコト」だった。
熱くも痛くもない。毎日、1つ以上その跡は増えていった。
エアキャップ(プチプチ)だらけで、手はウロコのようになった。
言葉を覚え始めた娘が、ある日言った。
「ちち、手痛い?」
『痛くないよ』
娘は笑って言った。
「ちち、手痛い?」
『痛くないって』
娘は何度も何度も、とちりながら聞いた。
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
(うるせぇなぁ!)ボクは娘をはたこうとした。
娘は笑顔だった。
でも、お前、それ涙じゃ・・・
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い!」
娘の笑顔は崩れ、泣いた。大泣きになった。
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
「ちち、手痛い?」
『うん、痛いよ・・・ゴメンね。』
「ちち、笑った!」
ボクは笑った。
こんな小さい笑顔と泣き顔が、ボクをコチョコチョっとした。
その日はタバコをやめた。