モデルハウス

家を持ってもおかしくない歳（遅すぎるか）だと思う。

最近まで結構、モデルハウスなるものを見て回った。

オレはいきなり中に入らないで「基礎やら壁やら」とにかく叩いたり、覗いたりする。
営業は不審な顔をする。

中に入れば、アラまぁ素晴らしいわぁ！
シックに統一されて、備え付けの家具（和モダンと言うのだそうだ）におしゃれな雑誌。
キッチンにも生活臭さはなく、大体がオール電化、トイレもウンコの臭いなど決してしない。

妻子は嬉々としてうろついている。
オレは特に見るものもないので立っていると、営業に捕まる。

『もう他のメーカーさんなんて回ってますか？』

「ハイ、もう見飽きました」

実際、見聞きしあきているので「基礎はこうなのか」とか「断熱材はアレか」とか
ココは「坪いくらが採算ライン」なのかとか、営業は困ってくる。

『具体的なプランをお持ちのようですね？』

「いいえ全く！」

『いつ頃の購入をお考えですか？』

「妻に聞いてください！」

もうオレはどうでもいいので、どうでもいいことを聞き出す。

「あんな居間で落ち着きますか？どこに寝転ぶんですか？」

『はぁ・・お客様のライフスタイルに合わせていか風にでも・・』

「ちゃぶ台はどこに置くの？」

『ち、ちゃぶ台ですか？さぁテーブルスタイルが主流ですからね』

「オレはオッシャレーな生活は苦手というか嫌いなんですよ」

営業の握りコブシがかたくなった頃に、妻子が戻ってくる。
妻は「ただの見たがり」、娘は「ただの階段好き」なので帰る。
よっぽどのことがないと、連絡は来ない。

毎月が大赤字なのに、家なんて買えるか！
おととい来やがれ！
って、自分が行ってるんだけどね・・。