JO①
次のミッション?は既に始まっているようだった。
JOが言った。
『梅さんの指示、聞いているよな?』
「あ?うん・・」
「あ?うん・・」
『成功するんだろうな?』
「ん・・うーん、多分ね?」
「ただ、自分でも良く判らないんだ・・結果なんて・・」
JOは珍しく、マジメに怒った。
分厚い資料をボクなりに翻訳して、いくつかの作戦は立てた。
成功しても失敗しても「犠牲」は少ない方が良い。
最前線で、死なないでくれなんて、甘い言葉が通じないぐらい判った気でいた。
だから「失敗した場合」の逃げる算段もしておいた。
成功しても失敗しても「犠牲」は少ない方が良い。
最前線で、死なないでくれなんて、甘い言葉が通じないぐらい判った気でいた。
だから「失敗した場合」の逃げる算段もしておいた。
JOに言われるのは判ってはいたが、
どうしても「違う世界」に浸かりこむ勇気というか、腹をくくれなかった。
どうしても「違う世界」に浸かりこむ勇気というか、腹をくくれなかった。
梅さんがやってきた。
相変わらず、悠然と、周りに敬礼をされながら近づいてくる。
『カヴァ?付いて来い』
断るという選択肢はないのだから、付いていく。
「はぁ・・しかし、梅さんのカリスマがあってこその作戦ではあります。」
『お前は作戦を立てる。どうなっても責任はオレ。それでいい』
梅さんは周囲をサングラス越しにチラチラしながら路地に入ったらしい。
ボクは自分を処せないまま歩き続けた。
ボクは自分を処せないまま歩き続けた。
梅さんからはぐれて、ひとりで歩いているとは気付かなかった。
すぐに両脇にヒトの群れができる・・。
(所詮「いいとこのお坊ちゃん」か・・さて、何をぶつけられるやら)
ヒトの群れは規則正しく2列に並び、ボクに軍曹らしき一人が話しかけて敬礼する。
ボクは面食らった。
言葉が判らなかったからだ。
言葉が判らなかったからだ。
通訳らしき一命が進んで、ボクに一礼をする。
「いや、ボクはただの「お坊ちゃん」だから、ひとりでいいよ?」
通訳は語気を強めた
軍隊より軍隊らしい梅さんの精鋭たちは一様にこちらを見る。
梅さんではなく「ボク」を見ている。
梅さんではなく「ボク」を見ている。
誰一人、死なせてはならない。
クニを知らず、持たず、誰にも知られず愛されず・・。
クニを知らず、持たず、誰にも知られず愛されず・・。
ボクはつぶやいていた。
そこの全員が歓喜した。
ときの声が上がる・・。
ボクは必要とされている。
何かが確かにカチリ・・と切り替わった。
ボクは成功する(可能性の高い)作戦だけ立てればよい。
失敗する(可能性の高い)作戦だけを立てなければ、後は彼らを信じてみよう。
初めて信用した人間は「社会的な死人」ばかりであった。
だが、信用するという感情がこんなにもボクを強くするとは思わなかった。