ハイ判りましたとしかいえない
声が出なくなって1週間以上経つ。
味覚も狂ってきて、体が思い。
妻に頼んで60キロ先まで運転してもらう。
医師を前にしても声が出ないどころか震えが止まらない。
すぐに安定剤の点滴をして、効かないので追加した。
廊下で息子がむずかっているのが聞こえる。
すまん、こんなで・・ちちもこんな急変するとは思っていなかったんだ。
医師が点滴のとこまで来て言った。
『前からしたら格段に頑張ってるじゃないか?』
のどから声を絞り出す。
医師は黙ってうなずいた。
静かに続けた。
『こうしたい、こうなりたい、誰でも言うべき意見はあるんだ』
『それをね、「コレを言ったらどうされてしまうんだろう」って考えてしまうよね』
『結局「ハイ判りました」としか言えないんだ』
『それをね、「コレを言ったらどうされてしまうんだろう」って考えてしまうよね』
『結局「ハイ判りました」としか言えないんだ』
『そういう空気こそが、人間を壊してしまうんだ。不安に押しつぶされてしまうんだ』
『今日はゆっくり忘れて眠るんだ、眠れるね?』
『今日はゆっくり忘れて眠るんだ、眠れるね?』
そうか、もう2日寝ていない。
今日は食事も少しだけ食べられた。
今は子供の笑顔が救いであり、どこにも連れて行けない悔しさがある。