MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

13月の革命~I君のこと

I君は官僚である。
東大を中退し中央大を経て、国家Ⅰ種・法律を通過。
と言っても、新エネルギー開発にひとことある「バリバリの理系」である。

ボクは学籍重複で退去するまで、色んな大学に潜っていたから知り合えた。

事業仕分け」で官僚は腕の見せ所である。
別に官僚全てが、予算の食いつぶしに血道をあげているわけではない。
無駄・無謀・重複etc・・に「待ってました!」と世論を後押しする官僚も多い。


官僚は必要である


もう記憶もほとんどないが、東京の安い居酒屋(学生だらけ)で達した結論である。

当時I君は法務省に出向していたが「死刑執行=アピール大」と考えるヒトが長だった。
I君をはじめ多くの官僚が、法律論を駆使して長を止めた時期があったらしい。
・死刑は、他に何ら更正・贖罪手段のないときの国家による合法殺人である
・極として死刑では罪は償えない
・安易な執行は冤罪に対応できない

そして、最後は、当時の長に「バカか?」と言わしめた最高傑作。


予期される「何となく殺人」に対応できない


刑法の殺人規定が変更され得ないこと、憲法の改正も難しいことを踏まえていた。
官僚は20年近く先の「理由なき殺人(ムシャクシャして誰でもいい)」を予想していた。
コレが当時笑い飛ばされたからコソ、現在の後手後手があり、バカみたいな法改正がある。

イメージ 1


フランツ・カフカは「変身」で有名であるがボクは再三「城」を推している。
グレゴール・ザムザがハエになった理由はジェフ・ゴールドブラムがハエになった理由より深い。
一市民に埋没することに満足して、権利を行使する発現する市民たりえなくなったザムザは、
別に「マシンに一匹ハエがいる!?」ということに驚きもしないのにハエになる。
そして、ハエになって一発当てもしなければ、ひたすらに後悔するのである。
「城」も長いワリには難解でつまらない、と言われるがそのとおりである。
難解なのは、官僚組織をきっちり説明したからであり、つまらないのは褒め文句である。

I君は、その後も省庁の再編で5省案を出したりして笑い飛ばされ、
防衛庁不要論を展開して笑い飛ばされた。
I君(たち)がおかしいのではなく、笑い飛ばした方がおかしいのである。

今回、事業仕分けで「官僚の答弁力」が話題になっているが、笑いごとである。
官僚は「答弁する資料」のプロであり、答弁させる方のプロである。
仕分け人の大半の質問にすぐ答える「自称高級官僚」を観るたび、
「潜在高級官僚」たるI君たちが思い浮かぶのだ。

どんなことを聞かれるのか?と考えたら不安になるしウツになる。
ソレをプロとして必死に考えているI君たちはプロではあるが不幸でもある。


本来、こんなことしている場合じゃない!


I君の口癖であり、真実であると思う。
大臣を説得している間に、別の危険な法案が通過してしまう。
その法案を形骸化させる時間が、今度は政府のポーズ的な政策にとられる。
やってられない!とは決して言わない。
『コレが仕事であるし、コレが使命であると信じる!』、I君は真顔で言った。

頭が良い!顔が良い!人徳もカリスマもある・・そういうヒトに全部やらせればラクだとは思う。
事実、そういうヒトに任せてきたのが現実であり歴史である。
腐りかけた民主主義なら「かっこいい君主制」の方が良いような気がする。
I君は言う。

『そうなれば良いとは思うよ?』
『でもね、人任せじゃやっぱりダメだっていうのが人間だしそうあって欲しい』

『こいつじゃ政治はダメだってときに一時的に官僚が要るんだ』


「一時的で良いの?」

『いつも必用ならそれはそれで不幸だと思うよ。オレらだって全分野に精通しているわけじゃないし
そういうヒトがもっと仲間にいればって思う。そういう民間のプロがいつの間にかあつまって、政治を動かす・・動かせる・・。官僚なんて別に要らないってのが理想ではあるよ。』

『そうなると失業だけど(笑)・・別にやりたいことも沢山あるしね』

I君は、水素エネルギーの限界を示した新エネルギーのプランを見せて笑い出し、
真面目に「UFOはできる」と数式入りで熱弁してホントにばか笑いした。

こんな世の中、I君たちがホントに必要なんだなぁ・・としみじみ思う。

自分は関係ない・・そんなボクがなさけなかったりもする