MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

古本屋のロマン

本が大好きである。
気が付いたら、テレビよりマンガが好きであった。
もっとマンガを読めば良かったが、本にはまった。
子供の頃は「図書室の本を読破」しようともくろんだが、上には上が居て負けた。
「世界名作全集」があって、トルストイとかヘッセには泣かされた。
内容にではなく、何が書いてあるのか小学生にはさっぱりであった。

暫くは古書店にふらっと入って、古本屋の雰囲気を味わっているうちに

『何か探してるの?』

と店主かバイトに聞かれ、もじもじと応えられずに退散していた。
きっと「エロ本万引きしそうなオーラ」が全開であったのであろう。

間違えて大学に入ってしまったが天国であった。
徒歩圏に、あの日本一の「神田神保町」があったからである。

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一歩入れば、プーンとかび臭いやらインク臭いやらで、でも萌えていた。
入り口のすぐ近くや、店外の棚に並ぶ「どうでもいい投売り本」にもロマンを感じていた。
この頃になると、欲しい本や読んでみたい本が朧げにあって、店主のひとことにも動じなくなった。


『何か探してるの?』


「エゴン=シーレの評論で和訳が有難いんだけど・・」


『あぁ、うちは日本画だから○堂さんに聞いてやるよ?』

こんなに便利な古本屋街もう出ないであろう。
地域ぐるみでジャンルを棲み分けしていて「どこにはアレがある」ことも知っている。
大学の駅まで行っても、古本屋やら古着屋やらで・・すっかり日が暮れてから顔を出し、
同級生には「隠れキャラ」と言われた。

若かった当時は、流行のエッセイや新人の小説などを見ても
「自分で書いたほうが面白い」と思い上がっていて、その反動で判るはずもない専門書を読んでいた。
ゴーストライターのバイトもしていて、コレが完全に官能小説なのである。
しかし、隠語と言うか、直接表現を使わない婉曲的な表現に日本語のエロスを深く感じた。
同じ時期に、新宿にも行っていたから「知識を会話の中で試す」という意味では恵まれていた。


時は流れ、まさか北海道に住んでいるとは、当時は思いもしなかった。
北海道は北大の前もすっかり古本屋が消え、賃貸アパートの店か、食堂だらけである。
知より食か・・?
まぁ腹が満足して、良く寝てから本を読むのであるから当然か。
アンリ=ファーブルは昆虫記を書くにあたり「教員給与を全て本に費やした」と聞くが、
そういう本の虫は、やっぱり荒又氏とかの博物学者に多いのであろうか。

ボクは本に結構つぎ込んでいるが、最近はもっぱら「本を売るなら♪」

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である。

ゲームとマンガが異常に多いのが特徴であるが、文庫本なら100円とかなのが嬉しい。
AMAZONという手もあるし、手っ取り早いのであろうが、読みたい本だけ買うのも味気ない。
ボクは基本、本なら何でも良い。
本と目が合ったら「出会い」であり、少し読んでピーンときたら、もう運命である。
上記のよくある古本屋でも「片っ端からウロウロ」しているので、店員がくっついて歩く。
やっぱり万引き大好きに見えるのであろうか?
文庫の小説をチラチラ読むが、別に成人コミックでも、ヘアケア化粧本でも良い。
女性向けのファッション雑誌でも、医学書でも、電撃コミックでも良いのである。
小悪魔アゲハを読んでいて、同じ立ち読みの女子高生に「?」という目で見られるが慣れた。

図書館に行くと、一服して帰ってきての繰り返しでキリがない。
本を読むときは自分の子でも、悪いが、かまいたくない、放っておいて?の、ちちである。

最近買った本は・・「名作詰め合わせ」。

・昭和2年が初版で、20年代に再刷の本が多い。
・「白鯨」が上巻しかない。
・「共産党宣言」が入っている。
・「基地外」とか平気で書いてある。
・演劇を想定したシナリオ小説が多い。

古本は奥が深い!
もうとっくに死んだヒトからの一方的なメッセージであるからだ。
メールで返ってくる返事は、お互いに生きているワリにはロマンがない。


要は新刊が変えないんでしょ?


その通りである。