MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

若いのに偉いねぇ

いつもの例に漏れず長いので読めるかなぁ・・。
 
イメージ 1
 
ボクはこの席にも、近くにも座らない。
「お年寄り」の「あぁソコは私たちの席なんだよぉ」という視線に堪えられないからである。
加えれば「杖をついてやっと歩いているお年寄り」に出会う可能性は低く、
「どうぞ」なんて、親切ぶって席をゆずったら嫌な顔をされたという経験が少なくないからだ。
「孫がいる歳には見えません」というアンチエイジング丸出しな服装であるが、
顔や首のディテール・全体の仕草が、どうやってもエイジング丸出しなお年寄りが多いのである。
それでも、塾に疲れた小学生とか、部活に疲れた中高生が疲れていないお年寄りに席を譲っている。
仕儀に疲れた社会人や、人生に疲れたウツ人は席なんて譲らなくてもいいとは思う。
 
 
『小さいのに偉いねぇ』
 
『若いのに偉いねぇ』
 
 
モノゴゴロ付いた頃から、現在に至るまでボクの記憶では「若いもの」として扱われている。
幼稚園とか小学生なら判るが、結婚し社会人となり、子供を2人連れていても「若いもの」である。
 
少子高齢化、いや、極端な高齢化である。
寿命は女性80歳を越えて久しい。
お袋などは、近所の「シルバー○サークル」に熱心なお誘いを受けているが、連日不在にして逃げているらしい。
理由は簡単で
 
「みんな年上で、若いから重宝される・・」
 
子育てから開放され、やっとのんびりできると思ったら、
(なかなか死なない)先輩達から、また1から人生の悩みやら未来への不安を聞かされる・・。
お袋の心中も複雑であろう。
もっともお袋は、末っ子であるらしいから狭い社会で「一番若い!」という自覚が未だに消えないのであろう。
オヤジに至っては「定年したらシルバー」を全く自覚しておらず、
連日リサイクルに出かけては、原色を越えた奇抜な服を買って着こなして?いるらしい。
ご近所では『オシャレだねぇ』と言われてニヤニヤしているらしいが、
昔からのご近所さんも、当の本人に向かって「チンドン屋」とは言えないだけであろう。
 
こういう、元気なお年寄りが、培養され増殖した結果、ボクらの世代はいつまでも「若いもの」なのである。
 
ボクは小さい頃から「お茶」が好きであった。
夏でもお茶が好きであった。
友人の家に遊びに行って、もてなしてくれるお母さん・おばあちゃんというのは少なくなかった。
 
『何を飲む?ジュース?コーラー?牛乳かな?』
 
「あ、お茶がいいです」
 
『あれあれ若いのに偉いねぇ!?』
 
お茶が偉いかは判らんが、コレが「仏壇に線香あげていいですか?」などと言おうモンなら、
 
『若いのに偉いねぇ・・』と友人のおばあちゃんなどはボクに向かって拝みだす。
当時ボクはまだ死んでないし、仏様ではない。 拝むな!と言いたかった。
 
近所の長屋にカミナリオヤジがいて、たまにワルガキ軍団でオヤジんちの「草取り」なんかをしていた。
『お!?小さいのに偉いな!?ちょっと待ってろ、菓子をやる!』
オヤジの手からアポロチョコなんかをもらいながら、気まずい感じであった。
草取りしていたのは、その前の晩にオヤジの家に「ロケット花火」を打ち込んだことへの謝罪の意味もあった。
なぜ、打ち込んだかというと、野球をしていて、ソレも硬式のボールを使っていたからカミナリが落ちた。
 
『もっと広いトコでやれ!そんな硬い球使ってケガしたらどうする!!』
 
子供を愛するが故のカミナリであり、ボクらが逆恨みしただけである。
正論だからこそ素直に謝罪も出来ず、かといって腕力ではかなわない。
親切なオヤジへのお礼は、夜にロケット花火を打ち込む・・しかない。
こういう不条理への呵責が、ボクらをして草取りをさせただけである。
もっと言えば、「花火の残骸」を拾ってきて証拠を隠滅しようとしていただけである。
 
学校の先生の車を洗っていても言われた。
 
『なかなかそんなこたぁ、できないぞ!?小さいのに偉い!!』
 
無論、良心ではない。
少し前に先生の車のドアを「もぎ取って」しまい、友人の知人の板金屋で急遽直したからである。
板金屋は職人であり、自動車修理屋と連携して見事に直してくれた。
代金についてビクビクしていたとこへ大将が来て、
 
『金なんかもらえるかぁ! ソレより毎日センセの車を洗えぇ!このバカタレが!』
 
だから、洗っていただけである。
 
 
バイトから社会人。
手弁当を作っていけば「若いのに・・」と言われ、
超過した賃金は返すと言えば「若いのに・・」と言われ、
どうも「当たり前だけどできない」ということを、「若いのに・・・」というセリフに込めて流されている気もする。
 
家の周りの草取りとか、近所の子供の遊び相手をしていても言われる。
 
『若いのに偉いわねぇ・・』
 
 
「アンタらが歳をとりすぎなんでしょや!?」
 
「アンタらに比べたら、誰でも若いわい!?」
 
「褒めてないでアンタらもやればいいっしょ!!??」
 
とは・・言えない。
 
イメージ 2
 
ボクはこのマークを「飛ばすぞマーク」と呼んでいる。
 
「若者よスピードを落とせ・人生は長い」、という標語が有名である。
コレを逆に解釈すると「飛ばすぞマーク」という自然な解釈となる。
老い先短いのだから、車での移動ぐらい最短の時間で済ませたいわい!そう思えるのである。
 
50キロ制限なら、120キロぐらいは免除されてもいいとは思う。
飲酒したり事故を起こしたりしたら、きちんと罰は受けて欲しいが。
もっとも、警察官が現場に駆けつけ「飛ばすぞマーク」を見て、
免許証で詐称がないか確認したらつぶやくであろう。
 
『・・・そういうことですか・・・』
 
『・・将来を無にするな・・とは言えないですな・・』
 
 
事故の相手も「飛ばすぞマーク」なら話は複雑になるであろう。
お互いの「飛ばせる理由」をあげつらって、子供じみたことになるであろう。
 
『私は昭和ひとけた生まれだ!早い!』
 
『何を!私は糖尿で注射打ってんだぞ!?』
 
『私は子供がいなくて、孤独なんだぞ!?』
 
『私なんか、結婚もしていないんだぞ!?』
 
『私なんか、明日、いや今死んだって何の社会への損失もないぞ!?』
 
『私だって、先月入院して、死んだんだぞ!?もう3回目だ!』
 
 
そこに警察官が入って『お2人とも死んで構いませんよ』
とは言えないであろう。
 
 
若者が言いたいことを言える時代は、
先輩達が沢山いる限り、来ないかもしれないなぁ。
子供たちからもタメ口のボクはいつ先輩になれるのであろう。