地震とホワイトデー
町内会の班長である。
だからどうした。
どうもしない。
ここ最近、深夜とか明け方に散歩している。
電気が点いている家が多い。テレビに釘付けであるのだと思う。
電気が点いていること、そして地震の情報を待っていることに感謝する。
班長だから、ゴミステーションの確認はする。
それ以上は個々の家庭に任せて大丈夫そうだ。
一服して、タバコを雪に埋めて、自分も冷えた頃に掘り出して灰皿に捨てる。
タバコか・・ソレドコじゃないだろうに。
JO(一応ヒト)と一緒に「作戦行動」していた頃は朝が待ち遠しかった。
命が格付けされた中で、生きたいから逃げて転げ回り、海に飛び込んでおぼれてJOに助けられた。
朝日が昇る。
海に浮かびながらつぶやく。
「朝が来ただけで・・助かったって思うなぁ・・何も変わらないんだけどな」
言ってしまってから、しまった!と思う。
JOには暦も昼夜も国籍すらないのだ。
案の定、皮肉られた。
『毎日がハッピーニューイヤーか!?目出度いねぇ』
海からあげてもらって、怪しげなタバコに、どこでも火が点く怪しげなマッチで火をもらう。
「すまないJO・・別にそういう意味じゃないんだ」
「眠って起きたら一日なんだよな・・あ、いや、眠れなくても・・」
どんどん自らの墓穴を深く掘っていく・・。
JOは良くもそれで泳げたな、というブーツをゴトッという音をたててつぶやいた。
いや、こっちを見ているから話しているのだ。
『悪夢ならいい、夢ならなんでもいい、そう思って目を覚ますんだなぁあああ』
『(大笑)やっぱり夢じゃねぇんだ!判っていても少しはオレもがっかりさ』
『いや、お前のいうこた判る!』
『朝になれば普通は「見える」からなぁ!救われた助かったって思うんだろう!?』
『もっともぉ!判らんほうがいい!朝日ってのは残酷だ』
JOはさっさと歩いて消えていく。
『オレは「見える」と困るんだなぁぁあ!』
お前はオウチに帰りなさい!と下卑たジェスチャーで言われる。
くそっ・・いつまでもお嬢様扱いか。
ウツ人は眠るのが怖い。
眠ったら起きることはない気がする、ソレすら願うことがある。
そのくせ眠れないことを何より恐怖するのだ。
眠ったことに後悔すらする。
起きたとき、昨日より良くなったものが、なに一つない、そう実感するからだ。
生きている!あとはオマケだ・・。
ボクは自分を目いっぱいはげます、いや、頬を力任せにひっぱたいて自覚させる。
娘が先週は言っていた。
『ちち、ホワイトデーね・・』
何か「たくらみ」があっての発言だったのであろう。
どことなく半笑いで、目があさってを向いていた。
娘はテレビにしがみついてから、すっかり言わなくなった。
2011年の3月14日。
多くのヒトにとって悪夢でしかないだろう。
来年のホワイトデーがいっつものように「つまらんイベント」として来る事を信じたい。
生きていることの、ただのオマケとして。