MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

伝道師と云う名の被害者

久しぶりに頓服を飲んだ。
今も手が震えている。
痺れもある。
いや、大丈夫だ。
娘の誕生祝の前に、息子の通院やら薬の遅配やらで体力を使ってしまったらしい。
妻を気遣って「へたな家事」をしたこともあるだろう。
 
旭川の氷が融けはじめてきた。
雪は暖かい気候ですぐに空気にはならない。
積み重なり凍って、永く、氷となって春を待つのだ。
春が近い。
嬉しいことである。
カネはなくても父としてできることはいくらでもある。
してあげる、そんな大層な想いじゃない。
喜んで欲しい、笑って欲しい、何ができるか。
気がついたら「お約束」をしていた。
手作りの絵本である。
再生紙とゴミの厚紙と色鉛筆の絵本。
ひどいもんだ・・・そう思ったが、娘に渡した瞬間を考えると胸が躍った。
ボクの中の氷も解け始めているのだ。
ウツ人もヒト。
ヒトはいつでも喜ぶことができる。
感情は良いものだ。
 
プレゼントとケーキは妻に任せた。
子供たちも連れて行った。
「何でも買ってやって欲しい」とだけ伝えた。
なんだかひどく疲れた。
ガスの修理がくる予定であったので、コレは適当には済まされない。
見ていないと手抜きをする業者が多いのだ。
北海道は「なあなあ」が多い。 残念だが民族的にそういうグレーゾーンで商売が成り立っている。
ボクは、プロはプロでなければならないと思う。
だから、逐一見ていた。
信用してはいるが、業者はさぞ不愉快であったろうと思う。
 
そしてほっと読書を始めた。
眠気より不安が勝ったからだ。
呼び鈴が鳴る。
何か遣り残しがあったかな?
つい、いつもの慎重さが抜けていた。
ジェホヴァの2人だった。
嫌いではない。
向こうもプロ?としてできることをしているだけだと思う。
ただ、疲れていること、眠りたいことを告げて、丁寧に詫びて玄関を閉ざそうとすると、
『一文だけお願いします!』と開けて入ってきた。
 
『この震災で20年は復興は無理と言われていますよね?』
『もう日本は最後じゃないかって言っているヒトも多いですよね?』
『そこでこの「イザヤの一文」なんですが・・もはやアルマゲドンが・・』
 
そこからボクは怒った。
怒ってしまった。
感情を抑える事は結構得意なのだが、押え切れなかった。
別に声を荒げても、出て行け、と叫んでもいない。
気がつくとベラベラとしゃべって止まれなかった。
 
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「ソレは「字」です。ただの字です。有難いかもしれない、救いかもしれない。でも字です」
「今は字で救っているときじゃないでしょう?」
「その聖書に救われるのは、実は何もできないあなたたちではないですか?」
「20年は復興しない!?誰が言ったんです?あなたたちが信じたいことを信じるのはそれは自由です」
アルマゲドンというなら言ってください。ただ、震災はそうじゃない!ボクや他のヒトに押し付けないで下さい」
「あなたたちはいつもヒトは賢く生きられると説いている。そうです。ヒトはどんな苦境も超えてきた。」
「でも・・予言が当たった!そう書いてあった!そういって、一体誰が救われるんですか?」
 
2人は呆気にとられているらしいが、なぜかボクは止まらなかった。
 
「ボクは自分が死ねば、あの震災で何人かが助かるなら喜んで死ぬ・・」
「でもね・・死ねない・・生きることが好きなんです・・・卑怯でしょう?ね?卑怯でしょう?」
「あぁ北海道でよかった・・そう思うんですよ。なんて人間だ!悪魔がいるなら恐らくボクでしょうね?」
 
一人は涙ぐんで『お仕事かなにかで辛い思いをされたんですか?』と聞く。
殴り倒してやろうと思ったが、できなかった。
ボクはこれから娘を息子を抱くのだ。
この手は子供や大切なヒトを守る手であって、あなたに上げる手は指の一本もない・・。
 
「・・・すみません・・今日はとてもお話を聞ける状態じゃないです・・」
 
『もうひとつだけいいですか?』
 
「ダメです!」
 
『日本は救われると思いますか?』
 
ぷっちーん!!
 
『20年という年数で、日本は戦争という地獄の底からオリンピック開催まで這い上がったんだ!』
『この震災は戦争なんですか!?違うでしょう!?予想できましたか?』
『天災なんです。予想が当たったといって喜べるもんじゃないんです!』
『日本は救われるかぁ!?20年もかからないできっと立ち上がる!数年で立ち上がる!』
 
「なぜそう言い切れるんですか?男の方はそういう強気な考えなんですか?」
 
『ヒトを信じているからです!失礼ですがボクは神の超常の力とかは信じない・・』
『でもヒトは信じましょうよ!?必ず這い上がるってボクらが信じないで誰が信じるんですか!?』
『あなたたちも、自分の子供が死んだって言われたって、生きているって信じるでしょう!?』
『神様に頼んで結果なんて待ってられますか!!??』
『ボクは子供が助けてといったら、誰かを踏み倒しても救う!』
 
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「あなたは・・恐ろしい・・あぁ恐ろしい・・」
 
『ボクも恐ろしいと思いますよ』
『でもね、もっと恐ろしいのは、安全な場所から「不安」を煽って混乱させるヒトたちでしょう・・』
 
会話が途切れ、2人の女性は声高に何か言いながら去っていった。
ボクは何か、怒りなのか悲しみなのか判らないもの、自分は正しいのか、そんなことに捕らわれていた。
正しくなくてもいい、いや、正邪のいずれかなんてボクは心底興味がない!
家族が、正しいと言ってくれればボクにはそれで十分だ。
家族が「居て欲しい」といえば、ボクが生きている理由は十分だ。
 
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過激ですまなかった。
ごめんなさい。