先の先は考えない
昨日、通院して点滴をしてきた。
注射とか採血とかがオバケより苦手なので生きた心地がしなかった。
下痢がとまらないので、医師が親切で「点滴をしようか」と言って断れなかったのである。
気絶しているうちに点滴が終った。
処方された「下痢止め」は効かず、やはり気休めの上新粉であったか、と思っている。
「過敏性腸炎」とのことだが誤診だと思う。
ボクはそんなに過敏ではないのだ。
寝ているときに息子が顔を踏んづけていくが起きない。鈍感なのだ。
過敏であるとすれば「まだ判りもしない先のことを考えてウツになる」というあたりであろう。
「星の王子様」にキツネの独り言がある。
このキツネは友人がいなくて、王子様との出会いと、会う約束に欣喜して言うのだ。
『あんた(王子様)と3時に会う約束をする』
『そうするとオレは11時ごろには嬉しくてたまらなくなるんだ』
『そして1時ごろには、もう飛び上がって踊りだしたくなるってもんさ』
王子様はふーん、そんなもんかな、と言うが、良く判る。
楽しい予定というものがあると、それだけで前日は嬉しくてたまらないのだ。
コレはウツ人には逆の意味でしっくりくる。
通院が苦手なら「明日は通院」と思うだけで前日は寝逃げすることが多い。
毎週月曜に通院、などとなると、週末は楽しいどころか、頭がおかしくなってどこか遠くに逃げたくなる。
勤め人なら更にひどくなる。
今さっき仕事が終ったばかりだと云うのに、もう次の仕事が気になってあわてふためくのだ。
さっきのキツネを「ウツの勤め人」とするとこうなる。
『毎日仕事があるとする』
『月曜の仕事はきつい。なにせ5日もある初日だからな』
『金曜はラクかって言うとそうではないんだ』
『土日を寝て逃げていたら、もう日曜の夜だ』
『そして夜中の1時ごろには、もう飛び上がって逃げだしたくなるってもんさ』
ボクも同じであろう。
先のことを考えてもボクは予言者ではないし、まして予言など当たらない。
考えるだけ無駄なのだ。
それでも考えてしまう。
最悪な事態を想定しておかないと、パニックになりかねない自分がいるのだ。
もし、上司がくだらないことを言ってきたら・・・
もし、小さなミスをまだ言われたら・・
もし、もし、もし・・・
そういうどうでもいい「IF」なかりを考えていると、人間はソレと同じ行動をとってしまうようだ。
そして、自分のことではない、周囲の戯言を、自分への不平や不満や悪口として聞いてしまうのだ。
先のことは考えない!
そう思ってもう何年になるか。
が、先のことを考えないと、実際に困ることは多い。
仕事で「今のこと」しか考えていないと、飛び込みの雑用がどうでもよくなる。
自分の重要な仕事より、オエラからの雑用が重要なことが多く、先に空気を読んでおくことも重要である。
主婦であれば「今日の夕食はなに?」と聞かれて「うーんこれから・・」と答えるとブーイングをくらう。
(作らない奴ほど「何でもいい」と言っておいて、なんだまたコレかよ・・と文句を言う)
寝坊しないようには早く寝るしかない。
これも先を考えての行動である。
先読みなしで駅のトイレに飛び込むと、適当なレシートで気休めに尻を拭くこともある。
どうも話が汚いなぁ。
あぁ・・また、お腹だ。
激しいビートを刻んでいる。
トイレに行ってくるか。
やはりボクは過敏なのかも知れない。