MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

パンクという生き方

昨日は家族で「お祭り」に行ってきた。
毎年、雨に降られる祭りらしく、今年も例外なく降られた。
雨の中ギャアギャアと逃げまどう若い衆が可愛そうだった。
一年の「この日」のためだけに朝から昼から化粧して、タンスから一張羅を出して臨んだであろうに。
すでにカップル成立のチームは、雨も風情よ♪と歩いていたが、ひとりものはそうはいかないらしい。
若い女は「化けの皮が落ちた」らしく、携帯を鏡がわりにポーチからモサモサと何か出して再変身していた。
若い男は「トサカが寝た」らしく、櫛と鏡を手に、繁殖期に向けあわただしい。
今年も赤とか黒とか十字架とか薔薇とか髑髏とか・・要は「パンクファッション」が目を引いた。
ボクも個人的に好きだが「ファッションのジャンル」としては??である。
 
世間に追従せず、狭い常識を否定し、若さだけで無理無謀に突っ走る・・というのがボクのパンクイメージ。
スーツでもジーンズでも何でもクラッシュさせてグランジして汚くレイヤードさせる。
カナが多いな・・
つまり「小汚い感じ」なのである。
ファッションとしては難しい。こうだ!と定義づけるものはなく、こういう感じ・・と輪郭をなぞる記号だけがある。
でも、ソレらは赤とか黒とか十字架とか薔薇とか髑髏とか・・ではなかったはずだ。
ピストルズは音楽性とか表現(アピール)の内容が、それまでとはノンジャンルで、なし崩しにパンクとなった。
ニルヴァーナのコベインはファッション云々より生き方がパンクであった。
 
 
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パンクは髑髏を崇拝しない。
髑髏があるとすれば麻薬中毒者のソレであり、スカル=パンクとは軽侮であろう。
安全ピンは、パンクな生き方をしているヒトからすれば「傷の治療具」であり、ファッションではない。
「666」は数秘術的ダミアン的悪魔的な記号であり、パンクとは無縁である。
今日、どうだ!とこういうのを着ていれば「あぁ6月6日か」と重宝されてオシマイである。
(が、ボクはこういうのが大好きです。オッサンで怖がりなのでスカルは勘弁ですが・・)
さて祭り。
若い女の浴衣にまで髑髏が踊り、薔薇が咲き乱れ、化粧は雨で流れ、どちらかといえばホラーである。
付けまつげを3人分ぐらいして、携帯には薔薇と血しぶき、真っ黒シャドウの、B級のホラーである。
所々に露出するのが肌なのか肉なのか内臓なのか・・・
太ももらしきところからは血管みたいなベルトが出ていて、スプラッタラッタラッタうさぎのダンスであった。
 
あぁキレイなロリータかせめてきっちりゴシックが見たい・・でも旭川・・ゴスロリ区別なし。合掌。
 
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(コレは↑メイドでもコスプレでもゴシックでもゴスロリでもなくロリータファッションです)
 
おそらくパンクは夏の風物詩「祭り」には来ない。
ゴシックは浴衣を着ないし、ロリータもペチコート(やドロワーズ)は外さないと思う。
ファッションとは「そういう生き方」を具象化する手段かもしれない。
市役所主催とかのカルチャースクールで「ギター教えます(エレキも可)」というのを見かける。
そこでは「はい、Gです、いいですねG7G7・・」なんて言われながら「授業」が行われているらしい。
授業から学ぶロックはなく、従ってエレキもない。
授業で「反体制」は教えないので、教室仕込みのエレキは薄いのである。
そこの講師というのは「先生」であるから、いくら地下で「オーイエー!」とやっても白々しいのである。
 
今のボクの上司の上司というのが、スキンヘッドで三白眼で見るからに「極道」なのである。
が、温厚で、天気の日の庭いじりが好きで、今からスイカの季節を待ちわびている。
職場では笑顔を絶やさず、すこぶる存在感のあるムードメーカーである。
そんな上司と昼休みに屋上で一服する。
上司が言う。
 
『いやぁオレ、人間でよかったなぁ!?』
『会社でよ、企画がダメでも、ハンコ押してもらえなくても、殺されないもんな!?』
『明日また打ち合わせましょう、とか、そこを何とか、なんて平和だよな!?』
『動物だったら・・どうよ!?』
 
笑顔で答える。
 
「秒殺ですね。気に入らないって時点でガブリ!グシャリ!ですね」
 
上司は大笑いした。
 
『ガハハハハ!全くだな!?』
 
(一見極道、実はおちゃめな普通の人、でもその実やっぱり極道・・こういうのは稀であり面白い)
 
そういうやり取りを聞いていた、別の上司が聞いてきた。
 
『お前、ウツ病じゃないのか?』
 
別にウツ人の定義はない。
「何というかこんな感じに、ヘタレていて暗くて白くて弱くて」という輪郭が細々とあるだけで根拠はない。
パンクやゴシック、ロリータに確立した定義や根拠がないのと同じである。
パンクを着た普通科の高校生ギタリストより、的屋のあんちゃんの方がパンクな生き方なのである。
青山でスーツを売っているゴシックさんもいれば、ただの「ゴシックを着た家事手伝い」もいる。
ロリータさんは筋が通った鋼鉄のナルシストであり、ニートやフリーターには少ない、生き方だからだ。
(注:ロリコンはどこまで突き詰めても、ロリータファッションと出会うことはない。)
ウツ人もまた、生き方のひとつである。
定義もなければ、模範回答もない。