MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

Iphoneはいかがですか?

長くなるがどこかで笑えるから読んでみてもいいと思う。
読書の秋に「くだらない長文」を読むのもまたヒトの一興である。
 
携帯電話ショップに行った。
 
ボクの機種が使えなくなるという電話が、やたらとメーカーからかかってきて不愉快だったからだ。
『あまりうるさいと他のトコにしますよ?』と言ってもかかってきたので腹が立った。
ボクの携帯にはまず通常の電話は来ない。
メールもまず来ない。
とち狂った出会い系のメールが立たない下半身をめがけて来るが当たった試しはない。
ええぃ、ままよこのまま携帯を解約して、自他ともに認める「電波の届かないヒト」になろうと決心した。
 
最初は何かの発売日らしく混んでいてやめた。
豚汁でも配っているのかと思ったがそうではないらしい。
午後も早い時間なのに若いヒトが多かったから、寒さと空腹しのぎの豚汁ではなさそうだ。
『きたぜ4.5』とか『パブリックな5の、まぁツナギか』とか言って興奮して去っていく若者。
・・・
豚汁でもなく餅を撒いているわけでもないらしい。
携帯ショップでドラクエは売っていないからやはり配っているのは電話だろう。
・・・・
 
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機種、いや新種の電話の新機種が出たらしい。
配っているのではなく、皆予約してそして買っているのだ。
ほぉアイフォンというメカですか。
ボクはIphoneという言葉すら聞いた事がなかった。
バスの中で、手のひらに何か書いているオジサンや若者を多く見かけたが「アレ」はまじないではなかったのだ。
そうか、ボタンではないタッチパネル(マルチタッチ)型の新種があると聞いたが「アレ」だったか。
そういう顛末を妻に話したらバカにもされず、妻は滅びゆく生き物を見るみたいな視線をくれた。
「知ってるよアイフォンだろ・・あの、あれだ、触って動く携帯だろ?あの銀行のタッチと同じ・・」
妻は絶滅する生き物より、未来ある賢い生き物に興味があるらしく台所に去っていった。
 
暫くしてまた行った。
妻も機種を変更しなければならないらしく仕方がなかった。
豚汁の日ではないらしく空いていた。
カウンターに座るように美人な女に言われる。断る理由がない。
 
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『最新のIphoneはいかがですか?暫くお待ちいただきますがとても便利です♪』
 
はじまった。困った。
まず予約録画もできないことを伝えると、では無料の機種はあちらですのでご案内します、と言う。
自分で選びますと言って行くと3種しかなかった。
1種は簡単携帯で子どもやお年寄り用だ。
妻は、かわいいし義父と同じにするからそれでいい、と即答。男らしい。
ボクはサンプルをいじりまわして逡巡する。女々しい。
コレしかないと言ってくれれば決まるのに・・なんで2種類あるんだ・・。
優柔不断なダメ男の言い訳である。
ひとつはツンデレな気がした。こういう直感は当たるのだ。
急いでいるときに気取って寸とも動かないのも困るし、
適当ないじり方をして「キューン!」などと奇声を上げられてももっと困る。
以前の携帯は最後までツンデレで、説明書を読まないと感じるトコも教えてくれなかった。
結局デレデレな(つまりは可も無く不可も無い)方にした。
デレデレが良いに決まっているではないか。
『もう充電がないじゃない・・・あなたのためなら半日は頑張っちゃうけど』
そういう風が良いに決まっているのだ。
お色はどうしますか?3色ございます・・・色だと?色で判断するのか?あなたはヒトを肌の色で判断するのか?
と思いながら自分は加齢なオッサンだと思い返す。色ぐらいしかメカは自分で決められない。
白は清純な感じだ。清純なオッサンって何よ。
紺?紺はブルマーの色だ・・・娘のいる身で紺はいかん。滅べロリコン。打倒ブルマーと指定水着。
黒?何が悲しくて新しい携帯にすれっからしの黒を選ぶのだ。
 
 
「黒にします!」
 
何という弱さ・・解約するんじゃなかったのか。
黒なら無難だ。いじってればそれなりに何とか見えるだろう。
何より雪の上に落としても判る。
こういうありもしないプライドと救いの無い貧乏根性がボクの大半である。
 
契約書にサインしていると店が混んできたことに気付く。
客はみんな新種の新機種の「アレ」らしい。
何ヶ月も先の予約をしてもアレが良いらしく、店員の婉曲な断り方にも頑として応じない。
男、特に30歳以上と思しきが一番ねばっこく聞いている。
ソフトバンクも良いって思うんだけど、スペック的にはどうなの?』
auの店員がソフトバンクはいいですよねって言うわけが無いだろう?失礼な男だ。
 
『こっちはメモリは問題ないけど動画のときにね、バッテリーの消耗とか考えると、こっちはどうかな?』
その店員はお前の家族でも彼女でもないのだ。
携帯といえば何年も使うものだろう。やがてモノではなくなり、彼女かそれ以上になるのだ。
その携帯の決定をヒトに丸投げするんじゃない!ホントに男かお前は!?
 
ドコモも巻き返すって聞いたし、ソフトバンクもかなり増えてるよね?どうなのかな?』
ええい!妻子もありそうなオッサンが「他の女についての評価」を聞くんじゃない!ここは風俗か?
風俗の方が遥かに客を見越して反論するぞ?携帯の店員だからと言って自分の欲求を押し付けるんじゃない!
そんなにソフトバンクが良ければ行け!そして中国に帰化して白い犬でも飼え!
 
『どうかなさいましたか?』
 
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びっくりした。
店員に聞いてきた。ボクは相当に厳しい渋い顔をして隣とかの客を見ていたようだ。
「いや・・その携帯は、つまり付き合う女のヒトだと思うんですよ」
店員は『何がつまりなんですか?』と言いたげだ。そりゃそうだろう。
だがボクは止まらない。陰口は聞こえるように言わないと気が済まないのだ。
 
「今付き合ってるヒトがいるとしますよ。今の携帯ですね。そしてどうして別れたくなる、とします」
『機種変とか他社への変更ですね・・』 店員は噴出している。なぜだ?無視する。
「どうしても別れたくなった理由を棚に上げて、あの女はどうかな?この女は評判が良いけど?って聞きます?」
『私ならきちっと自分で決めて欲しいですね』
「よく言ってくれました。男らしいですね」 店員は噴出している。なぜだ?無視する。
 
「コレに決めます・・」
さっきの男が散々ブツクサ言っていたのに決めたらしい。
なぜこっちを見る?ボクはIpohoneではないぞ・・ただの無料に換えたオッチャンだ。
まだ見ている・・何を?そうだ、そうやって最初からスパッと決めればいいのだ。
ただでさえ忙しいのに、お前一人のくだらんウンチクを聞くための店員ではないぞ。
自己満足のオナニーなら一人でやれ。
何なんだ、ホントにIphoneが必要なのか。
いつでもどこでもネットが必要なのか、そんなに動画や音楽が必要なのか?
まさかHな動画を観る為に最新のアレが必要なだけじゃなかろうな?
「指一本で世界中とつながれる」だと?あんな直球なシモネタに騙されおって、愚か者め。
おカマに病気をもらって、誰にも言えず苦しんで、治ったときにまた誰にも言えない底知れぬ喜び。
どん底の春を経験してから出直せ。愚かな地球人め。
 
 
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パソコンの爆発的普及は、結局エロサイトの閲覧が主目的だったと沢山聞いたし読んだ。
今度のIphoneも、いつでもどこでもH・萌えに浸りたいヒトの賢く悲しい性なんだろうか。
触れる・めくれる・つまめる、そういう感覚的な快感に集約されるのであろう。
 
愚痴る男の接客をしていた別の店員から、どうもすみませんでした、と言われる。
「いえいえこちらこそ」と適当に言う。なぜだ、何へのすみませんなのだ。
帰って妻から『Iphoneって少しはわかったかい?』と聞かれる。
「うーん、いじらせてもらったけど指の脂でテカっちゃって良く判らなかった」と答える。
妻は溜め息をついて、また台所に消えた。