戒めパンツ
ウエスト総ゴムのボトムスを持っていない。
ジャージとかスウェットとか、一切ない。
中年男の美学ではない。
性格上「ラクな方に流れ出し」たら止まらないことを知っているのだ。
家に帰る。スウェットを穿く。当然上はそろいのスウェットか、トレーナーになる。
夏はソレの短いのになる。
冬は裏起毛とか更に易きに流れ、半纏やどてらなんぞ羽織ってヨシ!となる。
何がヨシ!か!?あかんのだ!
それで、冬空に毛糸で編んだ靴下を履いたくせにサンダルでちょっとコンビにまで、となるのだ。
ちょっとコンビニに行って、ちょっと弁当やカップメンを買って、あぁアイスもいいかな!?となるのだ。
アイスもいいかな!? 良くないわい!?冬だろうが!?バカモノ!
男はヒゲも剃らず、女は化けることも面倒くさくなり前髪を垂らしてうつむいて歩いてごまかす。
スウェットの尻の辺りが「アレ?これグレーだったっけ?」なんてドブねずみ色になっても気にかけなくなる。
そうやって、楽なほう、というのは教祖みたいに両手を広げて待っておるのだ。
だから、ウェスト総ゴムは持っていない。ここまで執着して来ると買うのも面倒くさくなる。
理由は他にも大きい。
ボクは(安い)ジーンズを売るほど持っており、太ったときのため用、がないのだ。
ラングラー大好きだから50本はある。その他も30本はある・・・バカの冠たるものだ。
家族で穿いても、おそらく穿き潰すのに50年はかかる。ジーンズは作業着で丈夫なのだ。
ヴィンテージという「高いボロ布」は持っていないからなおさら長持ちする。
(いや、ヴィンテージは欲しいのだが、高くて買えないのだ。)
100円から500円の予算で「いい買物をした」と一人ほくそ笑むのだ。
それらがすべて、その当時のジャストフィットなので、太ったから、ではもったいないのだ。
ジーンズは伸縮するので、1インチくらいは「どうにかしてくれる」。
それに託して、毎日ラマーズをしながら吐いて穿いているのだ。きつい。
リラックスルーズフィット、とかオシャレに売ろうとしているが、アレは詐欺だ。
リラックスにはなるが、体がルーズフィットになるのだ。
ウェストはきっちりなのに、チャックだけが開いてくる不可思議な現象が起きるのだ。
腰に手を当てた辺りがウォーターベッドみたいな触感になるのだ。
へそ周りは「あぁなんか癒されるわ」といった感じになるのだ。
身体はリラックスグッズではない!
男は腹の肉でチ○コが見えにくくなり、女は巨乳だった○っぱいを振り回せるようになる・・。
『チ○コが消えまーす!!』 『ヘソが消えて、乳首が下を向きまーす!!』 はいっ!
そんな一発芸に、常日頃から備える必要はないし、見たくはないのだ。
ボクは中年以前に人として、今までのジーンズを穿く。
もったいない精神ではなく、貧乏根性で穿き続ける。
きつくてきつくて・・・穿けないどころか・・吐きそうだ。
そういうところから勝手に「戒めパンツ」と呼んでいる。
特に29インチ(73センチ)あたりが、もっとも戒めてくれる。 キリスト並みに精神に効く。
あぁ、戒めが過ぎて貧血になってきた。
女は総ゴムでもおしゃれ♪って・・いいな。