MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

女の一人暮らし

○校生男子と社会人女性の交際。
淫靡な印象であろうが、実際は学ぶことばかりで、落ち着き時間を作るのも大変な交際である。
大方の男子的妄想のようにSEX、SEXう!な現実など存在しないものである。
ボクは10代半ばで年上に惚れて以来、好き好むわけではなく年上とお付き合いをした。
数は多くない。
ボクの持っていた女への神秘的、聖母的イメージは払拭された。
生の女というものその生活、生態を知るには十分であり、刺激的であった。
 
 
女の一人暮らしは、甘い香りも芳醇な空気もなく、どこを切っても衣食住の生活感であった。
看護士や教師など、他人の世話をやく聖職?な方ほど自分の生活には無頓着な気がした。
私見だが、きれいなヒトほど部屋が汚く、それなりな人はそれなりだった。
でも、ワンルーム。少し贅沢で1LDKか2DKである。
まずキッチンがない。調理器具と調味料はあるが、料理する雰囲気がない。
流し?には洗う物がある。隣には洗ったものがある。
どれが洗ったものかは、何かこびりついているかどうかで判断する。
ワーキングウーマンは忙しい。この時間では帰っていないか。
合鍵で入っているボクは、まず飲み物を飲むコップを取ろうとして、流しにつかまる。
そこで全部洗う。スポンジがグズグズである、触った手が臭い・・買いに行く。
ティッシュとトイレの紙と、生活洗剤みたいなのを買う。どうせ一回で洗剤はなくなるのだ。
(この辺りはボクの母親の躾のよさと、ボク自身のサガである。)
スポンジを捨てて、コップでコーヒー牛乳を飲んで、冷蔵庫に・・しまえない。
何か、食器ごと冷蔵庫が一杯である。覗く。
サラダだった何か。煮物だった何か。見た目はカレーで匂いがカレーじゃないもの。
飲み口がガビガビのパック飲料。おそらく直飲みであろう。
ドレッシングが結構あるが、賞味期限で捨てようとすると何もなくなるので選別する。
冷凍庫は、かつて氷だった氷塊と、食べさしのアイス。それと冷凍しておいていつか食べようとした何かである。
冷蔵庫にもビールがあったが、冷凍庫にも入っている。おそらく急速に冷やそうとして忘れたんだろう。
「何か」については吟味して、スポンジを捨てた袋に一緒に捨てる。
食器は食器棚に並べる。なぜ一人暮らしでいちいち4セットづつぐらいあるのか・・とにかく片付ける。
奥に本が見える・・!?アレ、と思い、食器を出す。本とかそういうもの入れの棚だったらしい。
食器棚・・・とふと記憶を辿る。 雑誌の表紙で見えないコーナーをどける。
CANCAN、VIVI、JJ・・食べ歩き雑誌に・・・・アモール、コーラス?聞かないマンガ、あレディコミか。
そういうのをどけるとカワイイ食器が出てきた。下段はCDラジカセである。まぁ良い。
雑誌は紐でふんじばって、玄関に置く。さっきのゴミと一緒にスーパーのどっかに分別してこよう。
(当時は、ゴミの分別などなく、捨てる場所さえ合っていればもっていってもらえたのだ)
食器棚が元に戻って、本棚も出てきた。その横から空っぽのカラーボックスも出てきた。
ここで一服。ベランダのボクコーナー(安い灰皿と文庫本が置いてある)で呆ける。
部屋に戻り、衣類をまとめる。スーツはとりあえず霧拭いて干して、他は匂いで判別。
「洗剤の匂いか・・・ということはタンスにしまえばいいな」
「彼女の匂い・・ってことは洗濯か、コレは手洗いだな。多いな」
「コレは・・嗅いだら変態だ・・な。ネットに入れて洗濯だ」
洗濯機に放り込もうとしたら、先客あり。いつかの洗濯物が遠心力でへばりついている。
ベランダで干すにも、中で既に乾いている。えーい洗ってしまえ、となる。
洗濯の時間に、記憶でテーブルがあった辺りを片付ける。DM,請求書、チラシ、ポスティングが多い。
「これ、先週で終わり・・NTTと、?・・通販の化粧品か?」コンビニに払いに行く。
ついでにおにぎりを買う。腹が減っているのだ。
戻ると、まだお帰りではない。
テーブルを片付けると、コンビに弁当のガラがでてくる。四隅からそれぞれ見つかる。
片付けることより空腹だったのだろう。
ざっと手で押し寄せてテーブルの「空いているところ」が食卓なのだろう。
掃除機をかけようと・・・・掃除機が汚い・・・拭く。吸い込まない・・・パックが一杯。
何とか掃除機をかける。階下の住人が聞こえよがしに咳払いしている。
ええい!男の癖に細かい、うるさい!黙れオナニー野郎!こっちだってホコリで咳が出ているのだ。
 
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ゴミ箱をなるべく中身を見ないでひっくり返して、ごみ袋へ。これで何回目だろう。
ゴミ箱の一つがサビ臭い。中身がへばりついている。
カミソリと血染めのティッシュ。 ふぅ、と深呼吸する。
「ごめんね・・」 誰にでもなく謝る。
洗濯機がピーピー鳴いている。終ったか。多いな・・・夜だけど干すか。
二本目に火をつける。
下で誰かが手を振っている。帰ってきた。
『今日、○曜日だもんね!?残業あってさぁ!』
「大声はまずいよぉ!?」
彼女は照れ笑いと一緒に返ってきて、玄関を入ってすぐに気付く。
『また、片付けてくれちゃった?ごめんね毎回毎回』
「いーんだよ、どうせヒマだったし・・」
『どっか、食べに行こうか?』
化粧こそしているが疲れきっているのが良くわかる。
シャワーを浴びてくる、と言うから「風呂にしよう」と言って、風呂にお湯を入れる。
女の風呂は長い。だから夕食を作る。
風呂から声がする。 『またチャーハン?』と聞かれる。「そう、またチャーハン」と答える。
またチャーハンを食べながら、仕事とかこっちの学校とかの話をする。
あのね?と何か聞かれるが、こっちもテスト前で忙しい。
また来週。うんまた来週。という短いやり取りと沈黙。
 
 
 
すぐに金がなくて電車賃もなくて引き返す。
『どうしたの?』
「○円くれる?色々支払ったらなくなっちゃって」
『あ!また勝手に親切したでしょ?・・』 万札を2枚くれる。
これじゃ多すぎる、と言うと、掃除と調理代、と笑う。
「親切が親切じゃなくなるんだけど」と少し腹が立つ。
ゴメン、と彼女は妥当な金だけくれて、そこでサヨナラまたねという。
『いろいろ話したかっただろうにね、ごめんね?』と言われる。
 
謝るのはこっちなのだ。
また、カミソリあったな。 傷はあったけど、また、聞けなかったな。
別に構わないか・・・生活感っていいな。生きている感じがする。
彼女、生き生きしてきたな。そろそろボクはいいかもな。
 
女は、男が思うほど、男を必要としないし、もっとこう・・大変なのだ。
ほらSEXなんて出てこないだろう。
そういうのも男が作り出した妄想なのだ。