MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

姉妹の育成

シモネタとして「その他のギャンブル」のジャンルとした。
異論はあろうが、考えての分類である。
 
一昔前「パパ」というのが流行った。
何のことはない。
売る春をエンコウと言い、買う春を少女趣味への甲斐性みたいにすりかえていただけである。
ボクらは「姉・妹契約」ということをやっていた。
ボク「ら」、とは水商売で売り上げに悩んでいたブサイク集団である。
後に「ナンバーもち」の集団も加わり、ギャンブル性に拍車がかかった。
自分が抱える指名など、高が知れているので、頭を悩ませていた。
ボクは奥手であったので、客に一切手を出さなかった。
ボクよりブサイクな(つまりサル以下)集団は、手も出していた。
客をひきつけて、引き止めておくのに交尾を用いていた。
コレは枕商売という業界ではタブー視されているが、公然の取引であった。
女に金を貢がせるために交尾する・・なんとも卑劣である。
が、擬似恋愛が商売として成り立つのなら、ソレは外せない要素でもあった。
交尾は建前上できないが、客とは付かず離れずの鉄則を守りたい。
そこで生まれた苦肉の策が「姉・妹契約」であった。
契約であるから商取引であるのだが、書面などはかわさない。
無論、口約束の「諾成契約」であっても民法上は成立する。
刑罰にもギャンブルにも成らない理由は、色々ある。
 
・ 性交渉を持たないと云う「肉体関係」は、一般の契約要素しては無効である
・ 様々なイベントへの、金銭その他物的損失は、ボクらの方に大きい
・ 契約によって「相手」には何らの損害も生じない
・ ギャンブルとするには「偶然性もギャンブル性も少ない」
 
これらは、非公式でも法律事務所の助言を得ているから、後々の訴訟にもならなかった。
(無論、精神的賠償を訴えられた者は居るが・・)
 
方法は簡単である。
真似できるならやってみても良いが、相当の労力が要るからやめたほうが良い。
ゲームが得意でも絶対に無理であるが。
 
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真剣交際を希望している客(知人)がいる。
交際はできないが、後々の金銭対価(売り上げ)のためにも、その客のつなぎとめが必要となる。
契約を打診する。
成立すると、相手が年上なら「姉さん」と呼び、歳下なら「○(呼び捨て)」と呼ぶ。
相手からは好きに呼ばせる。
初期は、大抵は「お兄ちゃん」という響きに萌えて麻痺して、だらしなく金をつかってしまう。
軌道に乗ると、友人とか知人とかが店に来てくれて「売り上げ」に貢献してくれる。
(小口の売り上げだが、累積がバカにならないのだ)
 
軌道に乗せるまでが興味深いのだが、苦労するのである。
まず、擬似でも家族になるわけで、相手の家庭状況、血縁関係や趣味、
悩み諸々にまで精通しなければ「契約」は滞るのである。
やれ家族の誕生日やら、クリスマスといったイベント、学祭の手伝い、趣味への理解。
悩みは真摯に聞いて、ダイエットとか上司の不平とかも聞き流せない。
「契約」が10にもなると、手帳は各人に一冊は持たないと足りなくなる。
毎日が何らかのイベントであり、毎日毎日、どこかの姉や妹の悩みについて考えているのだ。
頭が足りない・・・・記憶だけでもしておいて欲しい・・。
今ある携帯端末など、当時あれば飛びついたであろう。
恋愛感情を昂ぶらせると、売り上げは伸びるが、その気にならせても本気になられると困る。
間合いとスキンシップが駆け引きとなり、神経は衰弱していった。
 
『お兄ちゃん?今週おばあちゃんの誕生日なんだけど、プレゼント一緒に考えて?』
おばあちゃんやらおじいちゃんやら・・早く召されてくれ・・とは言えない。家族なのだ。
亡くなっていても、墓参りとか言ったりする。でも業務外手当てなどない。
 
『あのね?弟が進路で悩んでいるみたいなんだけど、一緒に話を聞いてやってくれない?』
男など自分で悩め!?第一、あなたが「姉」じゃないか?あ、自分はその「お兄ちゃん」か・・クソ。
弟?の話を聞き、『良かったです。ボクもお兄さん欲しかったんですよ?』などと言われるとゾッとする。
ボクは一銭にもならない弟など欲しくないのだ・・フン。
とは、言えない。家族なのだ。
 
なんとなく良くある「水商売のやりすぎ営業」みたいになってくる。
 
そのうち、擬似の家族関係が崩れることがある。
『あのね?・・ホントは他人なんだから付き合ってもいいんじゃないかな?』
ダメである。契約違反である。交際とか交尾とか言語道を断つというものである。
 
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先輩(ナンバーもち)が傑作なシステムを追加考案した。
・ 妹や姉であっても、ポイント制で順位を昇格できる
・ 最終昇格すると彼女になれる
 
これは画期的であった。
順位のつくれない姉妹に順位をつけることができ、最終昇格などこちらの匙加減だ。
が、コレは「いい男」にだけ許された横暴な特権であったのだ。
ブサイクさんは、切り出した後で、
『ふざけんなよ?何様だ!お前の店なんか行かない!』で終わりである。
ボクはそういう愁嘆場を目の当たりにして、怖くなりズルズルと契約を続けた。
結果として、何ら売り上げにはつながらず、いつまでも妙な妹達に「お兄ちゃん」と呼ばれ続けた。
アレルギーになった。
「お兄ちゃん」と聞くと、吐き気がしたのである。
 
家に帰り弟に呼ばれないかビクビクして閉じこもっていた。
幸せなことに弟は「兄貴」とか「○兄」と呼ぶようになっていた。
兄思いの弟達で良かったと思ったものだ。
 
契約をだんだんと解消して行き、すっきりした頃、またお兄ちゃんと呼ばれるようになった。
 
HOMOが常連として来るようになり、かなり年上なくせに『お兄ちゃんと呼ばせて欲しい』と言ったのだ。
男との銀座ショッピングは、とても気苦労が多く、腕を組まれると、ひぃぃぃと言った。
居酒屋でも寄ったら、お持ち帰り、即死であるから酔えない。
男だと、妹や姉の方がまだ良かったかもしれないと思った。
ゲームのほうが止められて良い。