セレブとは?
金がない。
あったことがない。
長らく財布に一万円が入ったことがない。
買物で「一時預かり」するくらいで、駿足で去っていく。
金は天下のまわりりものだが、まわりくどいだけでボクの順番は来ないらしい。
家にモノは溢れているが価値がない。
価値がある、と決めつけているモノは多いが、自己満足である。
手作りのライダーベルト、手作りのお面。
野良犬の預かり場所のようなじゅうたんには、髪の毛だかシモノケが沢山。
洗濯物を干した下には、脱ぎ散らかしたのか落ちたのか判らない靴下。
その靴下も、ボロとして掃除に使うのもどうかというモノ。一般家庭では「ゴミ」であろう。
上から下までモノモノで物々しいのである。
すっきりとした空間に憧れるが、きっとすっきりしたら散らかしたくなるんだろう。
セレブというものに憧れる。
キレイなオベベを着て、美味しいものを当たり前に食べていたらさぞ満足だろう。
そして運動不足はジムなんかでトレーナーが何とかしてくれるのだ。
・・・・どうもずれている
ドバイの大金持ちの暮らしとか想像できない。
やっぱりソレは嫌だなぁ。
ボクは貧乏臭いのが大好きなのだ。
アイスのフタは舐めたいし、タバコは根元まで吸いたいのだ。
服の穴のひとつや二つなら、縫って縫って使いたいのだ。
崩れそうな靴下を裏返して履いて、内も外も臭くなって、わざわざ嗅いでゲラゲラ笑いたいのだ。
洗剤をケチって馬鹿力で汚れを落としたいのだ。
何がセレブなのか?とずっと前に考えた。
自分でできることもやってもらう、というのが結論。
そして手に入るものは、許される限りで最高のモノを買う。
そうやって詰めていくと、自分が好きなのか、セレブリティに憧れているだけなのか区別がなくなる。
セレブはセレブとは思っていない。
プチセレブな~、という時点でセレブではないのだ。
セレブを意識して背伸びしても、いつか疲れて汚い踵が下りて、犬のフンを踏むだけだ。
たまに贅沢したいなら、たまには贅沢!でいいのだ。
鼻セレブ?
バカモノ、セレブはきっと手鼻だ。
後始末は執事だ。紙なんか使うか。
ボクもセレブに・・・と思ったが浮かばなかった。
100円ショップで630円のモノを買うのは根本から違う気がした。
マックで・・・・マックがダメか。
そして、マックでいつもは頼まないアップルパイを頼もうと思ってやめた。
作れる気がした。妻も好物だし・・・という理由で貧乏性が始まった。
作った。
マックより美味かった。
リンゴの糖度が高かったらしく、砂糖なんか入れなければ良かったくらいだ。
市販のパイは、ありゃ相当にひどいリンゴだ、と思った。
海外の農場から10キロくらい転がって、動物がひとかじりして「グエッ」と転がして、
川を下って、子供が拾い集めて、買取のオッサンが「形だけは良くないと!」と
流れ流れて日本に辿り着いたようなリンゴだろう。
砂糖漬けにしてしまえば判らない。絶対に判らない。
セレブとはスレイブの揶揄でもあるらしい。
セレブになりたい近づきたい、真似したい・・そういう願望が自己を滅ぼす。
つまり欲望の奴隷(スレイブ)となっているというのだ。
辛辣だけど上手い野次じゃないか。