エイリアンとプレデター
今日は4回目の除雪を終えた。
良く降るなぁ。エイリアンの惑星さながらだ。
プレデターなら獲物はすぐに見つけられる気温。
たかだか50キロくらいの雪を押すのに、自分の非力さを感じる。
男ならスタローンとシュワルツェネガーは必ず通る道。
年頃の友人たちが良く判らない根拠で言っていた。
ボクは既に大好きだったので話には加わった。
『えいじょりあーん・・』というセリフは、『ザクとは違うのだよ!』くらいに流行った。
ロッキーは鍛錬のシーンばかりを真似ていた。
貧乏臭いスウェットを着て、走って走って、木だの電柱だのを叩いてまた走るのだ。
近所の坂がいつまでも続くので、坂の上まで走りきると皆でガッツポーズをした。
「ウォー!やるぞぉ!やってやるぅ!!」などと日も暮れているのに叫ぶのだ。
英語ではなく、吹き替えの真似なので、田中邦衛さんに近い叫びもあった。
坂の上の住人にはさぞ迷惑だったに違いない。
ランボーはオバカなボクラが「鍛えれば何とか成るんじゃないか?」という身近?な超人なのだ。
筋肉マンなどが流行ってはいたが、ヒトではないので目標にならない。
当時はベンキマンとかカレクックとかがいて、どうもギャグ路線で目標には遠かった。
ランボーは独りで闘う。理由はいつも正義である。
高倉健さんの任侠張りに義理に厚いのである。
千万人といえど我行かん!を地でいっていたのだ。
武器を創る。ワナも創る。基本は自作自炊である。
夜・雨・森の三種の神器が揃えば最強の戦士である。
ライフルでは「ぐっ!」としか言わず堪える。まず戦死しない。
ヒザすらもつかない・・ラオウばりである。
続作になってくると、機銃でも死なない。
肩を打ち抜かれてやっと、「うおー!ぐぐぐぬぬ」と言うくらいで、数秒でまた自分の機銃を構える。
多分ヤムチャくらいならやっつけると思う。
頭の良くないボクらでも「絶対に生き残る」というのは真似できないと思いはじめ、
スタローンはフィラデルフィアの神棚に飾っておいて、別の猛者に移ることにした。
最早、男としての目標が「人間」ではなくなっていた。
はじめは、皆シュワさんがプレデターだと思っていた。
そして、プレデターを観てすぐに、その圧倒的な強さとビジュアルに完全にいかれてしまった。
同じ歳の女子たちが、明星を買い、ジャニーズを礼賛していたのとは、別次元で狂っていた。
エイリアンのように舌を伸ばして、プレデターばりに武器を持って闘うという奇怪な遊びをしていた。
集団ならプレデターだな!とか、いやクイーンなら無敵だ!とか言い争っていた。
先生が激怒する中、ボクらは全く聞かずに、誰が強いか!?と尾崎豊よりも知りたがっていた。
エルム街とか13日のあのヒトが好きな友人も居て、猛者に挙げたが却下された。
「フレディなど偏執で服がパンクで趣味が悪い。第一鼻が高すぎる」
『ジェイソンはカップルを狙いすぎ。もてないからって嫉妬しすぎ。』
「フレディVSジェイソン? 興味ないよそんなショボイの。」
『理科と体育の先生が対決したってわざわざ見に行くかよ!?』
などとひどい扱いをしていた。
後にエイリアンVSプレデターという夢の競演があった。
大人になっていたボクたちでも、それとなく観ており、何かの折に話した。
「エイリアン負けた・・よな?」
『っていうかプレデターも人間に助けられたよ・・な?』
プレデターの高度すぎる装備品が卑怯だ、とか、エイリアンは進化しすぎ、とかまた文句を始めた。
そして、やっぱり裸一貫で強くないとならない、と言い始めた。
「やっぱり・・リプリー・・・か?」
『いやいや、ロッキーだろ?』
「それならランボーだろ?」
「ジョン=マクレーンなら生き残るんじゃね?」
・・・か?
素面でも丸腰でも強いったら・・な?
変な納得をしていた。
ボクらは何も成長していなかった。