MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

ウツ人川柳

旭川に「三番館」という百貨店がある。
百貨店なのだが、西武や東急、そごうや三越と云った百貨店には分類されていない。
百貨店売り上げが減少・・という記事があっても、三番館は決して計上されない。
デパートと云うには小さいが、小売店と云うには大きい。
服飾からカーペット、雑貨まで高いのから安いのまで揃っている。
2万円のワイシャツとか、10万円のカーペットもきちんと売っている。
「飾り」ではなく、ベタベタと値札を重ね張りする辺りに、売る気が溢れている。
商品も経営も、扱いは社長の趣味に偏っていると思われがちな感じだがそうではない。
こういう感じのこういうのが欲しい、と伝えればきちんとどこからともなく持って来る。
ヘタをすると、こっちの方が似合うと思うわ?あぁ似合うわぁ!と云った店員の主観で買わされる。
デパートよりデパート然としているのだ。
北海道旭川のおばちゃんたちは『ちょっと丸井さんに』とか『ちょっと西武にね』と控えめに言う。
そういう方たちは三番館は買物区域に入っていないらしいが、三番館の名は知っている。
『三番館行ってくる』と言えば、『あ、私も行くわ』、そういうのが三番館らしさである。
三番館は、通が好むのか?と思ったがそうではない。
三番館で買物をするおばちゃんは三番館しか通わないし、デパートはそういうものだ。
お客様を第一に、何より店自体が楽しくないといかん!という方針のようだ。
 
少し前まで、北海道には読売巨人軍ファンしかいなかった。
理由は巨人しか来なかったし知らなかった、ということだけ。
ファイターズが黒船のように上陸したが、別に外国から来ていないので大歓迎された。
今はすっかりファイターズ一色である。
栗山監督は名前で栗山町(夕張郡)に縁があるから、栗山も大賑わいである。
ファイターズ VS 巨人 のときはお祭りである。
どっちが勝っても大歓迎なのである。
ポロリデスマッチで、双方美人で巨乳みたいなものだ。
 
その真っ只中にあって、三番館は「阪神タイガース!」と云う姿勢を変えない。
阪神というだけあって、社長にとって「神」であるらしい。
いや・・・社長は猛虎会の大タニマチなのだ。それほどなのだ。
どこのデパートでも、巨人が勝ってもファイターズが勝ってもセールをやる。
三番館は、『ファイターズおめでとう!阪神今年もありがとう!』とやる。
阪神が関わらないイベントは行わない。
阪神監督と三番館社長の大きなイラストが店の外壁を飾る。
普通ならドン引きであるが、三番館だから、で許される。
阪神が勝った年は店じまいか?全部売るのか?というほどだったらしい。
阪神がなくなったら三番館も必ずなくなるだろう、そういう凄みがある。
 
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サラリーマン川柳と云うのがあって、概ね、勤め人の悲哀を自虐的にうたう。
自虐的にうたうのだが、底知れぬ不安に裏打ちされた諦観があって、ソレが(笑)、とくるらしい。
こういうのはずっと前から三番館に貼ってある。
少なくとも20年前には既にあった。
社員か社長か募集か、よくもというほど練られたネタの川柳なのだ。
エスカレータの横のあの鏡にベタベタ貼ってあるのだ。
「ちょっと化粧の具合を・・」と鏡を見ようにも、進行方向の視界が全て川柳なのだ。
上に行こうとしても、斜め上には次々に現れる川柳。
 
・ 化粧して 別人になり 締め出され
    ・ 外出に 昔口紅 今唾液
      ・ 100均で まとめ買いする 化粧品
 
売る気あるのか三番館・・?と思うが、ぷっと笑わせて、やっぱり化粧品は売れるらしい。
素晴らしい。
 
ボクはサラリーマン川柳が大好きだ。
内容はおそらく三番館よりも劣るが、悲壮感から出る笑いが大好きだ。
 
・ 妻減量 娘整形 オレ増毛
 
・ 妻節電 娘減量 オレ増毛
 
どっちもなぜオレ増毛なのか。世相は変わってもハゲの悲哀は変わらないからだ。
最近ボク個人も切に判ってきた。
北海道の西岸に「留萌=ルモイ」と云うところがあり、最近は「萌えの駅」として売り出している。
が、駅なのに売りが「バス」のキップなのだ。
 
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こういうのも経営難とか客寄せ苦労が痛々しくて、そこから出る笑いが素晴らしい。
もう少し良くと「増毛=ましけ」というところもある。魚介で有名でウニも旨い。
知人に増毛出身のハゲた方がいるが・・・・もう会った瞬間から吹き出してしまう。
彼は反則ギリギリだ。 
存在自体が極限状態と云うのは、ウツ人にも通ずる究極だ。
 
何かの本や自作と混じってはているが、
ネットが問題になった頃の三番館のエスカレータである。
 
・ 電脳で 増える欲望 リア脂肪
 
ネットに浸かるとそうなるね。
なりたい自己像に極めて相似な自己を創りやすい。
少し褒められたりしたら、ソレが自分だってなりやすい。
お互いの間合いというルールがあるから距離をとって褒めあい傷つけあうのだけど、
ソレを履き違えると、褒めてくれない、寂しい、誰か救って?なんて云うさびしんぼうになる。
 
 
・ 自分探し 見つけたいのは 痛い奴
 
コレは深いね。
何か検索しているうちに、賢く偉くなった気がして増長するのね。
「勝てる」サイトやブログにわざわざ出向いて荒らすヒトとかね。
障害者のところに出向いていく健常者とかね。
それで書くほど言うほど、自分が一番痛いんだ、あいたたたって露呈してしまう。
一言居士ってのも多いね。
ひとこと書かないと気が済まないヒト。
「これで終ります何か質問は?」ってなってるのに、『そもそもこの会議は』ってやっちゃうヒト。
全く意見が要らないのに、「私は違って、こう思います」とか言うヒト。
それで全然「違って」ないのね。自分が何か言いたいだけなのね。
 
・ KYと 言い合うほどの 友もなし
 
コレは・・・その通りだね。
 
 
・ オフ会と 言われ慌てて 歯を磨く
 
男だろうねコレ。
ヒゲを剃る、でも、床屋行く、でもなく、歯を磨く。歯を磨く・・・
もしかしたら何か!あるんじゃないか!?っていう欲望は仕方ない。
ウツ人なら、爪を切るだけでも一苦労だから、良く歯を磨くよね。
欲望には正直だよね。
 
三番館。
るるぶ北海道」に載せるべきだと思うのだが。