MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

女にもてるために

前回の「女にもてたい」の続きである。
もてたいから、女子の前で、より速く走る、より遠く跳ぶ、時には登り、飛ぶ。
そういう動物的な求愛行動は、やはり中学にあがると同時に無意味になる。
面白いことを叫びながらフルチンで走っても、もう女子達から得られるものはなくなる。
「もてたい!」だけじゃダメかしら・・・と男子も気付いてくる。
 
女子は第二次性徴を迎え、ぐっと冷めて、年上に求愛するようになる。
近所のお兄さんだったり、アイドルであったり。
一番の敵は「先輩」と云う輩で、彼らとて、先輩になってもてる日を夢見てきたから、すかしている。
キャー♪などと言われても、にやりとして「ウッス!」などと手を振っている。
またキャーなどと言われている。また手など振っている先輩達のニセエセマイケルなアクションが殺意を誘う。
高校進学が見えてくると、足が速いとかは、余りもて要素にはならない。
セロリが食べられる、くらいの扱いになり、フーン凄いね、で終る。
 
勉強って、こんなに差がつくのかと、皆で焼け石に水をかけている群集の中で、優劣がついていく。
女子の注意は、進学の時期、急にミステリアスな秀才に集まる。
勉強している風でもないのにできる。特に目立った風貌でもないが、言うことが深く(感じる)短い。
秀才たちは、元来女子が苦手で(秀才女子も同じ)、徒党を組むことも噂話も大の苦手。
だからキャーキャーとエサをつけて竿をふっても、何も釣れない。
ボクのような凡人(普通と評される恋愛対象ですらない奴)がエサを取ろうとすると怒られる。
 
もてたくて、不良に走る輩も多い。
暴力行為、暴走行為、集団での、い集・威嚇。
勉強ができないことを糊塗するためで、決してアウトローとか義理任侠が好きなわけではない。
大抵は強い一人がいて、取り巻きがいて、取り巻きがえばっている。
『○○がお前のことむかつくって言ってる・・』とまことしやかに言う。
○○は決してそういうことを言わない。
つまり物言わぬ○○の言伝てである「巫女や神官」が不良イメージを仕切る。つまらないことだ。
 
ボクは勉強はできたし掃除や行事も真面目にやっていた。
不良には不良とばれていて、コウモリ里がなきな状態で困った。
そこで他の中学の女子(化粧してロングスカート)に協力を求め、どうしたらもてるかレクチャーを請うた。
・ 強いし優しい
・ オシャレ
・ ケンカは多少強くないといけないが、むやみに力は誇示しない
・ 酒とタバコは嗜む
・ きっちり自分の時間を持っていること
・ 女を引っ張る行動力と決断力
・ ヒトの意見も柔軟に聞いて、まとめあげる資質
・ 家族を大切にすること
・ 生活力があること(家事ができる)
すれた女子は人生観が早熟である。
こうなると、大人にも十分通ずる。
今見ても、何を偉そうにと思いながら、殆どできていない・・。
 
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それで、ボクは自分を狩りにでかけた。
甘ったれ、それはいかん、と指摘されてきたことを見直すにした。
 
まずボクはヨーカドーやセーユーで服を買うのを止め、バイト代も少なかったので古着に走った。
店員に基本の合わせ方を請うたが、好きに着ろ!判らないなら着るな!とのことで好きに着た。
調べ物が好きなので、すっかり古着には詳しくなり、バブル期のバイトの役に立った。
安くても靴だけはしっかり手入れをしてこだわるようになった。
 
ケンカはしなくなった。筋トレだけは欠かさず続けた。
健康のためではなく、もてるためだ。それが今も続いている・・・子どもである。
体を労わりながらケンカをするので余り負けなくなった。
 
タバコはこの頃からはじめた。赤ラークを深々と吸い、むせたら焼酎でごまかしていた。
安酒で喘息の発作を起こすことしばしばで、友人からは『シンナーにしておけ』とアドバイスされた。
タバコ屋のおばちゃんから『まずはキャスターにしちょけ』と言われ、暫くキャスター時代が続いた。
ライターにも凝るようになり、点け方にももて方があることを知った。
いかに指先をキレイに見せるか・・・こうなると女の所作にも通じてくる。
 
女を引っ張る・・と言われてもピンとは来なかったので、差し当たりデートは仕切っていた。
計画が好きだが、その通りに運ぶ時間配分が面倒なので、路地をふらついたりするようになった。
女子の好む服や化粧と、男のそれに大きな隔たりがあることを知ったのもこの時期。
今に、ぱみゅぱみゅは総スカンだということも哀しいながら知っている。
アレは愛玩女子向けで、男子受けを狙っていても方向が違う。
女は人形を愛でることができるが、男が欲しいのはキレイな奴隷だ。
 
自分の時間は、いくらでも読書とバイトに費やした。
バイト代で本を買い、興味があることが書いてあると試してみた。
劇団とか、バンドとか、波乗りとか、登山とか。
芸術は金がかかるので、早々に諦めた。何より芸術では飯が食えないいのだ。
この頃で高校生である。
 
家事はできたので、付き合う女性の部屋は大抵、ボクが掃除し模様替えした。
社会人の相手だったので、外食なのだが、僕は金がない。
食事は作るようにして、今で云う家カフェ・家居酒屋みたいなことにした。
季節の服選びには必ず同行した。
どっちがいい?と聞かれて、どっちも似合うよ、などとは言えなかった。
女の服は消耗品だ。絶対にある程度の定番を持っても、トップもアウターも年々変わる。
その合わせ方も勉強した。
部屋の修繕から、水周りの修理、ゴミ出し、風水から観葉植物選びまで・・・よろず屋だ。
引越しのときの見積もりと、大家との調整もやった。
 
彼女がいて、同棲してもいいよ?などと言われれば最高なのだろうが、ボクの方がすれてしまっていた。
都合よく飼われるなんてまっぴらだ、と心底恐怖を感じた。
 
同じ頃に、ボクの弟達は「私設ファンクラブ」に終われる日々を送っていた。
後にも先にも、一般人にファンクラブがあるのを聞いた例がない。
キャーキャー言われる中で、遠くでチャッと手だけを振って無視していた。
あぁ、ボクはアレがやりたかったのに。
どこで、どう間違えたんだろう。
きっと、時々の相談相手を選びすぎたのだろう。