MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

矛と盾と

楚人有鬻楯與矛者。譽之曰、吾楯之堅、莫能陷也。又譽其矛曰、吾矛之利、於物無不陷也。或曰、以子之矛、陷子之楯何如。其人弗能應也。
 
矛盾の語源である。
楯と矛をひさぐ(売る)人がいて、言っていた。
「これは最強の楯だす!むっが固いので強いだす!」
「んでもってこっちは最強の矛だす!突き通せないものなどないだす!」
そしたら客が言った。
『その矛でその楯を突いたら?』
「・・・・」
 
こういうのを矛盾、自己矛盾と云って揶揄したらしい。
今W杯を観ていて、やっとブラジルが一点取った。
ここまできたら焼けクソである。
ドイツの下馬評は「攻守ともに安定している」であった。
それがGKノイヤーのルックスと鉄壁ですっかり「守りのドイツ」となった。
クローゼがいて、ミュラーがいて、なんで守りか?
無論、銀英伝の話ではない。
(銀英伝はドイツ表記が多いので、どうしてもかぶる)
クローゼなんか、ボクがウツ人になる以前から知っているし、W杯に出ているから何度目だ?
あ、ドイツ勝った。おめでとう!
7点もとったから歴史に残ること疑いない!
 
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ボクが学生の頃、先の矛盾の話を更に揶揄する学生がいて、
『最強の楯でぶったたく!』と云う答えを出し傑作だった。
確かに堅いのは間違いないから、さしあたり武器にもなるだろうというわけだ。
矛では防御には難しい。
三国志呂布も、あんなけったいな矛を振り回すから楯を持てなかったという説もある。
それでも三国史上最強だが。
 
ブラジルは最強の矛だった。
エースを失っても、キャプテンが不在でも最強なのだ。
何より、アウェイじゃない!
ブラジルの個人技は凄いらしい。
かつてのバイト仲間がとにかくサッカーがうまくてブラジルに留学したらしい。
タツノコくんと云う。
タツノコくんは文武両道で、あ、このクニじゃあかん、とブラジルに行ったらしい。
そんで、子供たちがサッカーで遊ぶのを見て愕然としたという。
『・・・あんな技をみんな子どもが?・・・あれが皆大人になったら・・』
それでもかなり練習して帰ったらしいが、サッカー熱は少し冷めたらしい。
最強の矛ができていく過程を見たわけである。
ブラジル代表はそういう集まりである。
 
ドイツは最強の楯と言われているが、GKカーンの頃でも既にそうだった。
当時はオーウェンなんかがいて、イングランドにはベッカム様がいた。
そして攻めてもドイツは最強レベルのチームであった。
 
今回、前半すぐにドイツは「最強の楯でぶったたいた」のである。
ブラジルは「まさか」となって狼狽した。
「そんな・・・反則でしょ・・」とぶつくさと言う中でまた追加点。
「だから!楯でたたくなや!?」と怒っているとまたドカン!
 
どうもカーンの頃を思いだす。
そして、当時のボクを思いだす。
仕事での泊まりが、月に最低で5回、最高で12回。
無論、その他は朝から晩まで仕事。
泊まりで朝を迎えて、そのまま通常の仕事をするのだ。
出張もするのだ。
本部のオエラが監査に来て「そんな勤務したんじゃ安全上・・」と言っても
『じゃぁ、もし119番して「眠いから」って言われたらいやでしょう?』などと答えていた。
上司も同僚も誰も、着替えずに仕事をしていた。
ブラックなんて誰も考えなかった。
現場は現場の誇りに満ちていた。
 
最近ボクはあれに近い生活をしている。
寝ないで、書いたり出かけたりしている。
私事は一つもない。
ウツ人なのに・・
これも矛盾と云う。