MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

完璧な男性

抱かれたい男、というのは言い回しが古いらしい。
今は使い分ける。
 
・結婚したい男
これはある程度の容姿や性格を引いても、一緒にいられる男であろう。残念ながら既婚者が多い。
・恋人にしたい男
これは抱かれたいだけ、あるいは見せびらかしたいだけの意味であり、男は憤慨すべきである。
・弟にしたい男
若手が多い。年増の女が「恋したいけど許されないよね」と取ってつけた命名だろう。
女が抱きたい男、ペットにしたい男という意味も強く、くたばれ女性権者である。
・上司にしたい男
どこまでも女は貪欲で、つくづくジャンルの使い分けがうまい。男もチョイスしたいところだろう。
チョイスされるかは別だ。加えればイケメンな上司は既婚者であり家庭を大切にする。
 
ジュノンボーイも、食指の長い女のために、「理想の恋人・スタイリッシュ・フォトジェニック」などがある。
フォトジェニックとはキレイ系であり、受賞者は間違いなくグランプリより売れるからタチが悪い。
今のヒーローものは遍くジュノンボーイかイケメン集団の出身であり、代々の武道家は入る余地がない。
ゴーカイシルバーの可愛い彼は武道をたしなみ、見事にジュノンで喰い込んだくらいである。
本郷猛のような、名前からして武張った肉体系が待たれる。
 
さて、上述のイケメンたちを足して割ったのが、ボクの弟である。
自慢であり、見せたくないお宝であり、しまっておきたいレアものであり、軽くトラウマである。
彼は生まれたときから手がかからず、風邪もひとりで治していた。
母の母乳が出なくなると、歩いて自販機で牛乳を買い、一日2リッター飲んだ。
容姿もスタイルも良く、突出して社交性に長けていた。
近所は無論、遠くの町から「女の子のファン」が足繁く我が家に通うほどだった。
それでも彼は、勉学とスポーツに打ち込み、同性とワイワイしているのが好きだった。
ここまで書いて、ムカついてきた。
それでも止まらない。
なぜなら今日は、彼の誕生日だからだ。
自分の誕生日は毎年忘れるが、彼ともう一人の弟の誕生日は忘れない。
ウツ人になり、症状が酷くなった時、ボクは自分の記憶を失くした。
マンガのような本当の話である。
右利きかどうかも判らなくなり、誰もいなくなったようなボクの世界で、弟はいつも傍にいた。
『兄貴、大丈夫だよ?何かあれば言ってくれ?』
『○兄、何でも言ってくれ?』
『今日からまた兄弟になろう?良いじゃんそれで?』
『アハハ、嘘みたいだね』
 
だからボクは彼らの誕生日だけは忘れるはずがなかった。
 
とんと会っていない。
ボクが金も時間もないのと、会社が帰省に規制をかけるからだ。
北海道から東京に行くのは「観光」でしかないらしく、そもそも東京が実家というのが不可解らしい。
もう弟は結婚しただろうか?
きっと一人だけど大勢で楽しく忙しく生きているのだ。
弟が体調を崩すと、同僚やかつての同級生が飛んでくるという。
仕事で凹みかけた時も、同僚が上司も含めて弟をかばった。
母や父同様に身命を賭して、弟をかばったという。
激ウツ人であった当時のボク。何もできず仕舞い。
今でもボクは、当時を考えると、もう穴を掘って入って出てきたくない気分だ。
 
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完璧な人間はいない!男も女もいないというが、弟は完璧だと思う。
竜という伝説の生き物がいるが、伝説であそこまで詳しくは描かれないと思う。
やはり実在して、文献と口承があるのだ。
弟は、MRパーフェクト とか レジェンド君とか言われていた。
他人を謗らず、自分に厳しく、常に上を目指し、わが身を三省してやまない。
弟の周りは笑いが絶えない。
彼が笑っているからだ。
弟のためなら、命を賭けそうな男女が、すぐに数人思い浮かぶ。
これは物凄いことだ。
何より、女友達が多いと云うのが凄い。
 
彼女がいない、とか、結婚相手がいない、と云うことに彼女たちは口を揃える。
 
『どうしても、どこか抜けてるな?って感じが欲しいんですよ』
『彼(弟)は、可愛いところもあるんですけど・・計算してるのかな?ってところもあって』
 
なるほど、わがままだが道理だ。
弟は全てが一流だった。
高校、大学と進学して、会社もスタートだった。
料理の資格、野菜、ワイン、日本酒の資格、主婦の検定まで持っているから、ますます女性は敬遠する。
家には家具がなにもなく、いつも要りそうなものを捨てている。
「断捨離の達人」が入ってきても、まずそいつを窓から捨てそうな勢いである。
気付けば走っている男であり、実際にマラソンも趣味だ。
サッカーはプロ級で、乗馬も趣味を超えるのだ。
パソコンやスマホで、乗り換えとか調べる以外に何かはしないという。
別にSNSをしなくても、いつも予定で一杯なのだそうだ。
仕事、友人、サッカー、飲み会、同期会、ボランティアなどなど。
ミクシィとかそういうものは、リア充の邪魔なのだそうだ。
 
『兄貴?リア充って?』
 
「これこれ、ボクみたいな・・こういう感じ・・」
 
『あぁ~俺判らないなぁ。リアルの次はまたリアルだからね。裏もリアル。どこまでも仮想は入らないよ。』
 
ボクが話題で合わせられるのが、「筋肉マン」ぐらいで情けない。
 
 
 
ボクはかつて「タッチの兄貴」とあだ名されていた。
できの悪い兄貴と、真逆の弟だからだ。
だから、あだち充のアレはボクのソドムとゴモラであり、タッチなんか見たこともない。
 
『おーい!タッチの兄貴ぃ?』
友人の呼びかけに応える。
 
「いや、もう一人いるんだ・・」
『え!!??また出来がいいんじゃ・・』
 
「うん、もう一人は天才・・」
 
『AUOHッチ!!』
 
今でも笑える思い出だ。
 
想い出させてくれてありがとう。
 
誕生日おめでとう。