MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

完敗の魔女

バツイチの友人がまた交際を始めた。
博覧だが個性的な彼のこと。
交際までは、相談所から出会い系まで幅広く使ったらしい。
今まで、交際を始めるたびに、職場や親戚の女性に誹謗されていた。
(未婚かバツの30~50代女性は怖い)
付き合った途端に、尋問される。
仕事中でも、交際を揶揄される。

『もう若い子なんか相手にしないんだから、歳上で我慢しなさい(笑)』
『そんなんだから相手にも愛想尽かされるんだよ』
『ずっと独身でもいいしょ?どうしようもなくなったら私が面倒見たるわ(大笑)』
『今度はまだ続いてるの?まぁあと○ヶ月だね(笑)』
『子持ち?無理無理!あんたなんか子どもも懐かないわ(笑)』

ダメになったら、そのときはもう大変な喜ばれようである。

『だから学歴のある女なんか、性格悪いんだって』
『顔で選ぶからさ(笑)ブスは三日で慣れるから、適当に選びなさい。野菜みたいに(笑)』
『今度は頑張んなよ?両親が生きているうちに孫を見せないさいよ(笑)』

男女問わないが、交際については、とかく悲劇が好まれる。
聞く方、揶揄したい方はというと、交際をする気概も、傷付く覚悟もないからだ。
「こっちに来なさいよ~」と、美しくない魔女たちは笑う。
BAD ENDこそ好まれ、その種別だけを貪欲に食らう魔女。
お陰さまで結婚します、などとは絶対に聞きたくないのである。

で、その彼は結婚するらしい。
相手はまだ20代後半。
彼は理想を貫き、向学心に燃える子持ちの女性を選んだ。
交際中、彼女は院に通った。
結果として、相手の学歴は院卒になった。
給料は彼より上。
彼も納得して応援していたから、卑屈さの欠片もない。
子どもも懐いているらしい。
元夫の奔放ぶりを見ていた子どもからしたら、彼のクソ真面目は、むしろ奇異だったかもしれない。
そして、それがつまなぬものではなく、途方もなく凄いことに気付いたんだろう。
性格が朴訥な彼の近況を聞くたび、ボクには連れ子の移ろう心理が良く判った。

あ?え?彼女の容姿?
これが、贅沢ぅ!としか言えない。
ボクもかなり前に紹介されているので、可愛いと綺麗は同居できるんだと感心したものだ。
彼は、惚れこんだ覚悟からか「待受け画面」にしており、照れながら見せてくれた。

『これ見せたら、魔女たちにボロクソやられるよね・・』

ボクは言った。

「プリントしてデスクに飾っとけば?」

二人してプリントし、彼に任せて文字も入れて、デスクにそっと飾ってある。
写真の彼女は、照れ笑いしている。
惚れた男にしか見せない笑顔と云うのは、誰にでも判る。

「近いうち結婚しますが式は内々にします 今まで応援ありがとうございます」

早々と、飲み仲間の上司たちはお祝いと労いの言葉をかけてくれたらしい。

魔女たちは彼を遠巻きに見ている。
実に魔女みたいな面をして、食堂でサバトを開いている。

魔女のボスが嫌味を言ってきたらしい。

『式をしないなら、せめて離婚式はやってよね(高笑)』

彼は言ったらしい。

「そんな・・別れたくないよ。ずっと・・。死ぬまで、いや死んでも。」


魔女はそれきりその話題に触れないらしい。

惚れた相手がそこにいないのに、ついつい本音で答えてしまう男。
そういう男の言葉を欲しているのは、魔女その人なのだろう。
ときに言葉は、毒より剣より、人の臓腑を貫き、えぐる。

誰が彼女たちを魔女にしたのか。