MelancholyDampirの日記

ウツな人の独り言

3.14

3.11で何か書こうかと思ったがやめた。
5年らしいが、当事者にはなんの節目でもないし、個々人に継続する特別な感情があるだけだ。
無責任にやっていいのは、祈りぐらいだろう。
ボクのような者でも「鎮魂押しつけ番組」は、喉が渇いて、腹が熱くなって見てもいられないのだ。

3.14と言えば円周率。
サンテンイチヨンと言えば後楽園ホール
ではなく、ホワイトデーである。

バレンタインは、ボクは殆ど無縁であったから、その眷属のホワイトデーはもっと無縁であった。
チョコをもらった奴が、いやそうに、にやけながらお返しを選ぶ日であり、
大抵は当事者同士の相思相愛を確認するという、呪うべきイベントであった。
幼少の頃、だから、2/14に違わず、3/14もボクはなるべく家にいなかった。
弟たちが「お返しがらみでパニックになる」光景を見たくなかったのだ。
ホワイトデーには、チョコと等価のお返しを、と、弟たちはリストを作っていた。
長いリスト。
次にお返しのブツの金額査定、配分、決算。
ここで破産する奴が出る。
『全部返したら、お年玉もなくなる!!』
・・・
貴様も消えてしまえ!
もてるもてないを通り越して、熱心なシンパから神格すら得ていた弟たち。
ボクは毎年、身近を呪っていた。
ひねた性格が更にひねくれた。

あれから何度もひねくれて、とうとう一周したらしい。
今年は、もらってもいないのに、何か買ってやりたくなった。
金はないので、それらしい安いケーキがいいとこだが。
仕事から帰り、ホットモットのケーキ版、みたいなところに行く。
案の定混んでいる。
似たようなサラリーマンや兄ちゃんが、ケーキを買っている。
判るぞ、その行動原理。
「2/14のお返しを買う自分」・・という24時までの魔法をかけに来たんだろう。
もらってもいないのに。
上ずった声で選んでいる兄ちゃん。
『それと・・・いや、やっぱりそっちのチョコのにしてください』
判るぞ、兄ちゃん。
やっぱり自分が食べるんだから、モンブランよりチョコだろう。
そうだ2個買え!
もうばれてるぞ。

そうやって見ていて、ボクも同じことをした。
家族分選んだが、自分も食べたくなったのだ。
小さくも生きている自分を褒めようとしたのだ。
どさくさに紛れて、高いチョコのを食べたくなったのだ。
本当に小さいなぁ、ボクは。

妻と子供たちと、楽しく食べたケーキ。
小さかった頃のボクと同じように、セロファンのクリームをこそいで食べていた子供たち。
貧乏性を身につけさせてゴメン。

ボクの高級ケーキは美味しくなかった。
甘そうな外見とは違い、芯には大人風味のジャムとレアチーズがぎっしりだった。
まだまだ自分を褒めるなということか。
慣れないことはするもんじゃない。