怒らない

『怒ることあるの？』

そう聞かれることが増えた。

そう見えるようになったのだろう。

そういう歳にもなったのだろう。

妻には怒らない。

差し引きで感謝が余るだけ。

子どもには怒らない。

自分の子供時分を思えば

怒れない。

むしろ、子供は立派だと感心する。

成長を間近で。

嬉しいだけ。

同僚や部下には怒らない。

自分の仕事を比べれば、自分が新人だったことを思えば

怒れるはずがない。

早く追い越せ、偉くなってくれ。

そう願うばかり。

上司。

政治家。

芸能人。

大統領。

教祖。

そういう役割の人が、自分の役割を、懸命に、プロとして果たそうとしている。

一度や二度のミスで、何をそんなに。

大目に、長い目で。

世の中の消費が速い。

褒めては飽きる。

飽きては捨てる。

自分には、何を消費できているのか、使い捨てることが

それだけの役割を果たしているのか

・・・

何様か

何様なんだ

・・・

怒れないのではない。

怒ることがないのだ。

笑って済ませる

笑って済まされる

それだけのことに

世の中の大人は怒りんぼうなんだろう思う。