物語
書くために幾つものプロットがある。
清書する必要もないだろう、幾つもの断片。
いつか小さくまとまっていくだろうエピソード。
無駄な刺激のない物語を書けたら良いと思っている。
取柄もない自分を投影して、嵌り込んでしまうような
怠惰な日常の刺激となるような
登場するものに感情移入して、読者が意見してしまいそうな
そういうものは書きたくない、と思っている。
誰でも救われるものも書きたくない、と思っている。
それは、難しいと思う。
ボタンの掛け違いで、言葉足らずなだけのすれ違いで、善悪が相対的になっていく。
そういうのは、プロが職権としてやることだ。
怖がらせる。
驚かせる。
虚勢を張る。
自分は違うんだぞと、文章の向こうから小声でつぶやく。
そういうものは書きたくないし、判らないから書けない。
誰もが、一生懸命に、目の前の責任に向き合っている。
カリスマは要らない。
神々しい美貌も、天然の美少女も要らない。
皆がするべきことが判らず、迷い、やがて気づき、集う。
ドラクエみたいな強大な悪は要らないが、記号は必要だ。
ヒトを導くには、人の言葉と行動。
その間の矛盾を、きれいに回収して収束させていく、何か。
そこに中間子として、見えない何かがある。
理屈抜きである、その何かに向かっていかざるを得ない。
そんな物語。
子供が自分の小遣いを出してまで手に入れたい物語。
そういうものが書けたら、幸せだと思う。
コナンやゾロリではいらない、その辺の兄ちゃん姉ちゃんたちの物語。
死ぬほどに頑張るから、誰も死なない、そういう生き方。
ボクにも必要な物語。