ウツ人は座禅(妄想)しろ!
この小さな町でボクは、運良く「禅僧」と知己になっている。
何か良くない激情を感じた時、ボクは座禅でやり過ごす。
不安が押さえられ、焦りが消える。幻聴も幻視も小さくなる。
運がいいと「無」になり、「生の意味」が問い掛けてくる。
それがヒザの故障で出来なくなり、ちょっと坊さんに話しに行ったのだ。
ところが、夜更けで、歳が近いこともあり、いつの間にか「アニメとエロ」話にしてしまった。
「世の中、おかしいぞ!みんな究極はエロなのになぜ隠す。」「同感。」「仏像はエロの極致だ」
「激しく同感!」「研究でノーベルとった偉人だって、『何とかしてコレを〇〇してやる』というエロが別の方向に昇華しただけだ!」「オリンピックもそうだ!」「そうだそうだ!」
「天照大神だって日本最初のストリッパーを観に出てきちゃった!」「そうだ、いいぞ!」
禅僧の静謐な書斎でボク達は、「全ての根源はエロにあり」と牛乳で乾杯した。
深夜、コソコソと帰宅する途中、ボクは、逆さで、もがいている虫を見つけた。
「このままじゃ死ぬな。でもそれも自然か。でも同じ命を持ったもの同士、ホレ長生きしろ」
「!!!!」
ミヤマクワガタ(北ヴァージョン)!!!
数百万人口都市、の片隅で生まれ育ったボクは「カブト虫クワガタ大百科」でしか、
その存在を知らず、先生も「絶滅に近いね」なんてこと言っていた、アレがコレだ。
その存在を知らず、先生も「絶滅に近いね」なんてこと言っていた、アレがコレだ。
最悪じゃんボク!悪魔じゃんボク!「黒い宝石」とか言ってるヤツと一緒じゃん!
いや、
黒い宝石は、ガイア・オルテガ・マッシュだ!
ボクは、かつての座禅の末、たどりついた。好都合な悟りを理由にした。
父ヒロシでも、植木氏でもない。ただ「悩まなくていい事を悩んでる自分がいるだけだ」と。
飼うにあたり、何の知識もない僕は、義父にせがんだ。小学生未満だ。
「あのぅ・・・やっぱりクワガタ飼いたいんですけど・・・どうしていいか・・」義父は言った。
外に出た僕は、ミヤマを前にして錯乱し、妻に「ハイハイ、ドウドウドウ」された。
ボクは、ハァハァして水を飲みだした。「犬かボクは!!」
しかし、義父はすぐに現れ、すごい手際で「飼育セット」を作ってくれた。
「これがクヌギだ。コレのオガクズがまたいいのよなぁ」木を水に浸している。
「こいつらひっくり返ったら終わりよな。」木のレイアウト。ミヤマへの配慮。慣れてる。
「本で読んだってダメよ!あ?手伝い?いらん!ん?網でも洗え。それくらいできるべ?」
感動と感謝で飽和したボクを、義父のセリフが貫いた。
話を戻す。
ウツ人は犯罪以外は好きにしろ!動きたくないなら寝てろ!無理するな、止まっていい!
自傷するなら、一瞬でもいい座禅(胡座でも正座でもいい)して欲しい。
ボクは、最近の自殺者増加や「動機曖昧な」殺人事件を、レミング現象だと思いたくない。
近く、同朋の四九日があるらしい。会ったこともないが、「痛く沈む」。
・・・許されるなら、いつか墓参りにいくからね。