らものススメ
ウツ人はとかく沈みがちである。
ウツ人はとかく罪悪感に苛まれやすい。
ウツ人はとかく現実逃避をしたがる。
ウツ人は考えすぎる。
なぜ?どうして?自分と周囲どっちが変なの?
自己矛盾と悪循環を繰り返す。
ボクでは答えられないし、答える気がない。
ウツ人の悩みは、知人友人は逃げ腰になるし、神様はあてにならない。
ということで、
「中島らも」氏が全て明確に答えてくれる、と言っておく。
ボクは長く「らも」信者であり、未だに「売れない本」として積んである。
入門(初心者)。
コレはダイジェスト版。
古本屋に行けば、らも氏の顔が表紙の「きちんとした」やつが多分置いてある。
105円で買えるから買うといいかも。
数分の診察と、量だけのクスリより、たかだかの古本が効きめを持つこともある。
自分の悩みは対処可能である、という嬉しい現実を知ると思う。
世の中はカオスでアル中でラリリである、というのがらも氏の周辺であり、
らも氏自身もカオスとニルヴァーナを行ったりきたりして、遂におかくれになった。
注意としては「質問というボール」にたいして、氏はキャッチボールなどしてはくれないのである。
危険球を投げても、ソレを取って更に危険球が飛んでくる・・と思えば良い。
打っても「なんで打つのんか?アホかい?」という答えであり、
更にとんでもないトコに返してきて「ホレ、拾って来んかい?」という答が多い。
コレを読んだら「変」だったかなぁ・・と「たまらん人々」・・というタイトルのを読むといい。
「たまらん・・」というのは日本の人種図鑑である。
くどいらも氏から見ても「たまらん・・・」と思うヒトが紹介され分析されている。
うろ覚えだが記憶を頼りに抜粋すると・・
らも氏は長く「コピーライター」として、色んな業界の広告(文字)を考えてきた。
ある日「漬物屋」の広告を考えることになり、お店に出向いて社長と打ち合わせする。
その漬物屋はとても塩辛くて身体に悪いので評判なのだそうだ。
らも「今は健康ブームですから、減塩とか、貴社はそういう売りみたいなのはありますかね?」
社長『昔は、うちの漬物みたいなの、それだけを熱いご飯にガーっとかけて食うとったんじゃ』
『それが今は健康だのダイエットだので、老いも若きも減塩減塩で健康になったもんじゃ』
『それで、やれ結婚が面倒くさいだので子供は増えん、でも年寄りは増える』
『つまり少子高齢化っちゅうことになるわいな』
『高齢化だから、年金は増える、税金も、いいだけ上がるわな、仕方ないこっちゃ』
『そやからな』
らも「はぁ・・」
社長『そういう年寄りはなぁ・・みな、うちの漬物食うて・・』
『死んだらええのんじゃ!!??』
こういう感じである。
中級として。
禁煙・禁酒・脱薬物・・・。
つまり余計な罪悪感を持っているヒトには
らも氏の出世作で自伝でもあるコレである。
「このまま酒を飲んでいたらどうなるのであろう?」
「自分はたまにしか飲まないから大丈夫かなぁ?」
「何でタバコ吸ってんだろう?」
そういう疑問にさりげなく答えてくれる。
気をつけたいのは「逆治療」であること。
甘く考えているヒトには刺さり、厳しく考えているヒトには心地いいのである。
上級はとくにないのである。
が、「らも節」という言い回しは確立されており、
ソレは「的確で笑いをこらえがたい形容」であり、「それに裏打ちされた膨大なボキャブラリー」である。
らも氏は「純文学」というジャンルからは嫌われており、
氏が相手にしていないから上等な文学=上級はないだけである。
基本ハチャメチャドタバタとか、荒唐無稽、にジャンル分けされてしまう。
ソレは日本の文学界が「判らん=荒唐無稽」としてしまうからである。
(映画のタランティーンノ氏とか絵や詩のシュールリアリズムとか、
とかく日本は「判らない=よそ者」として無視して喜ぶ悪い癖がある)
ボクはドグラマグラとか、わからんが好きである。
筒井康隆氏も大好物で、「虚航船団」で荒唐無稽と評された後、
「虚航船団の逆襲」を出すあたりにも拍手喝采であった。
川端康成氏こそ「ハチャメチャ」に分類してもいい気がする。
らも氏には「ガダラの豚」という代表作がある。
これは本好きなら読んでみてもいいと思う。
3巻立てだが、1巻だけでも読んでおくといい。
「エホバさん」を初めとする、宗教とかあらゆる勧誘を撃退できるようになる。
プラモは今日は作っていない・・。
娘の雪用ブーツを買うほうが急務だったのである。