ナキゴト
またナキゴトである。
笑いに来ている方には申し訳ない。
「泣き言」と書けないのは、泣いても何も変わらないし、泣けば会社の思うつぼだからである。
やっと産業医と話ができた。
比較的大きな会社だと産業医がいる。
ボクの会社は提携の産業医がいる。
常駐しているのだから嬉しい限りである。
が、ここのとこ何回も、オエラの「産業医はいないぞ!」のセリフどおり不在であった。
電話も苦痛であったが、思い切って電話しても不在か「忙しい」のひとことであった。
今日は思い切って、オエラたちの暴言を話した。
本意ではないが暴言をさせてしまった自分も詫びた。
産業医は「あなたが小ざかしいことを書くから悪い」と切り出した。
もう会話のベクトルは見えた。
産業医に限らず医師は患者の味方であるはず。
身体をこわした同僚たちも『産業医を敵に回すな』と言ってくれていた。
ボクは産業医に何を期待していたのだろう。
甘かった。
産業医は言った。
『その程度の言葉で凹んでいたらそうしようもないよ?』
『あなたのことを思って怒鳴ったんだと思うよ?』
『ところで、そんな追い詰められた精神状況ですぐ・・働けるの?』
働ける!そう言うしかない。
『無理なんじゃないの?』
が、クビになるという時期を、ボク以外が既に知っていることをボクは知っている。
そのことを告げると産業医は黙った。
(なぜ知っている?という顔で目を背ける)
ボクは言った。
「・・死ぬ気で働きますから・・」
産業医は言った。
『死なれても困るけどね(笑)』
『でも、そこまでアナタを追い詰めているのは私じゃないからね?』
『オエラに言いたいことを全部言ってみたらいいでしょ?』
言えるわけない。
言いたいことが封殺され、自分のゆるぎない本音は言葉狩りで切り捨てられる。
言いたいことは「甘え」として却下される。
オエラの言い分だけが常識として賞賛される。
『考えないでオエラは無視してればいいしょ?』
オエラを無視?仕事をしたことがないのか?このヒトは・・。
ナキゴトを聞くのが、産業医に限らず精神医師の仕事である。
ナキゴトを無視されたとき、ヒトは絶望し死に誘われる。
ウツ人が生きることを選べない全ての理由がそこにある。
ウツ人がいまだに軽んじられる全ての理由がそこにある。